~職場体験学習を生かして、今自分ができることを考える~

 

 5月末、職場体験学習として2日間、働くことを体験した。自分が働いてみたい事業所を見つけて、受け入れのお願いをしたり、事前訪問したりして職場体験学習を実施した。この経験を次に生かすために、自分の将来について考える時間を設けた。今は、親のおかげで生活できているけれど、後々は自分で収入を得て、自分で生活していく生徒たちが、どんなふうに生きていきたいか想像して、それを実現させるためにはどんな力が必要なのか、今自分ができることは何なのかを考え、行動する力が育まれることを期待した。

 飲食店や医療関係、保育・教育関係など、様々な事業所で働いてみて、生徒たちは、「お客様への気遣いの大切さを感じた」、「一緒に働く仲間のありがたさを実感した」「お金をもらうってとても大変だった。親は毎日働いていてすごい」など、様々な思いを抱いた。その気持ちをふまえ、職業を自分事としてとらえた時に、将来、どんな職業に就きたいか決まっている生徒もいれば、なかなか決めることができない生徒もいた。決まっていた生徒の中でも、その職業に就くための道のりを調べたり、平均収入や社会的地位等を調べたりしていく中で、違う職業に転換する生徒もいた。なかなか決まらない生徒には、1年後の進路選択を見据えて普通科もしくは専門学科等の選択肢があると助言したり、実際に職場体験先に就職すると仮定して、そのための道のりを一緒に考えたりした。自然と友人の将来に興味を示して対話をしたり、友人の考えに刺激を受けて自分と向き合ったりする姿が見られた。

 一人1枚の用紙に、「夢新聞」として調べたことのまとめをした。年齢を重ねた自分の姿を想像して描く生徒や、自分にある数多くの可能性を文字で表現する生徒がいた。「今までは、漠然とした夢だったけれど、実際に調べてみることで、今やらなければいけないことが分かった」「実際にこういう人生が歩めるように今から頑張りたい」などの感想を聞くことができた。中には、明るい将来を想像した生徒ばかりではなく、不安を抱いた生徒もいて、親や担任に相談したり、友人に相談したりしていた。1月末、「立志の式」を行ったのだが、自立について考えるときに、夢新聞の経験が役に立った。今後も生徒が自分の人生を考えて選択していけるように様々な実践を行っていきたい。

 

報告者:北中学校 金井 あやの先生