明るい未来のために(甲山中2年生の実践)
~夢をもち、夢の実現に向けて努力する生徒を育むキャリア教育~
現在、自動運転技術の向上やAIの進歩など超スマート社会がより身近になっている。生徒たちも、この変化の時代に対して、よりよい社会創造の担い手としての資質・能力を身に付けることが急務である。そこで本校では、今年度より総合的な学習の時間を使い、キャリア教育学習を進めている。
1・2年生の段階から、今の自分を見つめ、様々な職業について学んだり、体験したりすることにより、将来の自分の姿を描きやすくなり、3年生の進路決定の一助となる。また、「働く」ということは金銭を得るといった手段だけにとどまらず、働くことを通して自己実現を達成することや、社会に貢献するという側面もある。生徒が、これから社会の中でどのように生きていくのか、自分に合った生き方を自ら考える良い機会としたい。さらに、この学習で様々な職業の方と関わり合いながら活動することで社会人としての意識を高め、コミュニケーションの基本を身に付ける絶好の機会とできる。
そこで、職場体験学習を通して従業員、経営者、客など多様な社会的立場の人と関わり合ったり、職場体験を受け入れてくださる事業主の方の考えに触れたりすることで、様々な立場に立って多面的に物事をとらえることができるようになってほしい。さらに、自分を客観視することができ、自分の長所、短所を認めながら、より具体的な将来設計のプランニングができるようしていきたいと考えている。そのような点から、単元「明るい未来のために~可能性の種を育もう~」を設定した。
まず、各学年の最初の総合的な学習の時間で、「今の私を知ろう」の学習を設定し、生まれてからこれまでのことを振り返りながら、自分ができるようになったことを確認し、ドリームマップとして現在の状態を記録する。これにより、1年間、総合的な学習の時間に学んだことを、3学期に振り返ったときに、過去の自分と比較して、新たに成長した自分が発見できるようにした。
その後、2年生は職場体験学習に向け、自分の適性や希望の職種から職場体験の事業所を決定し、その事業所のことや、業務内容について調べ学習を行った。さらに、職場体験がより充実したものになるよう、職場体験を受け入れてくださる事業所の方をゲストティーチャーとして招き、受け入れる立場の方から職場体験について伺った。生徒たちは、職場体験をより充実させるために「マナー」や「積極的なコミュニケ―ション」などの人とのかかわりを大切にすることだけに意識が向いていた。しかし、事業所の方の「社会の一員として役に立っていると思えることがゴールである」というお話を聴くことで、職場体験を自分自身と向き合う機会にすることも大切であるという、新しい視点に気付くことができた。
キャリア教育は自己の生き方について考える大切な時間である。そこで、生徒が学ぶことと自己の将来のつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な資質・能力を身に付け、超スマート社会に向け、共生社会のあり方について考察しながら,よりよい社会創造の担い手としての資質・能力を身に付けられるよう学びを深めていきたい。
報告者:甲山中学校 原田 洋輝先生