心を耕す田んぼ活動  ~地域の人と協力してお米を育てよう~

 下山小学校は、岡崎市で最も小規模(全校児童24人)な学校である。様々な活動や行事を全校児童一緒に行うことが多い。本校では毎年、学校で借りている田んぼ10aを使って米作りをしている。田植えと稲刈りは全校児童に加え、名古屋市立川中小学校の4年生を招いて行う。2つのメイン活動に加え、田んぼに関わる全ての活動及び、日々の水管理や草取りなどの地道な作業は、5・6年生が主となって行ってきた。また、この活動には、学区の老人会である「暁会」の人々が協力をしてくれている。

 

 今年度の活動を始めるにあたり、これまで以上に子ども達自身に活動の意味を考えさせたり、協力してくださる「暁会」の人との関わりを深めさせたりして、活動していきたいと考えた。4月。5・6年生9人は、今年も自分たちが中心となって田んぼ活動をしていく意欲を確認した。その時、「毎年やるから」ではなく「自分たちが進んで作業をやっていく、教えてもらう」という気持ちを確認した。

 5月に入り、中心となって教えてくださるTさん、Kさんと連絡を取り合い、あぜぬりと代掻きを行った。講師二人の素早く手慣れた作業を見て、子ども達は感心すると共に、自分たちも丁寧にやらなくてはと意欲を高めることができた。また、田植え直前には、Tさんが来校され、子ども達に、田んぼ活動の1年の流れと、田植えに向けて稲の持ち方、植え方などを丁寧に教えてくださった。これを受け、6年生は、低学年や川中小学校児童に説明をする為の準備をした。田植え当日には、10名の「暁会」の人々が、早くから準備をしてくださり、子ども達をサポートしてくださった。しっかり植えられていないところを直してくださったり、泥田に苦戦する子ども達を温かく励ましてくださったりした。5・6年生は、暁会の人達の様子をしっかり見ながら作業をし、一緒に片付けまで頑張ることができた。田植えが済んでからは、除草剤をまいたり、肥料をまいたりするタイミングをTさんから教えてもらいながら作業をした。草取りや水の管理は毎日、子ども達が行った。草取りは、授業時間を使って行ったこともある。連絡をしていないのに、Kさんが手伝いに来てくださった。子ども達は驚きながらも、自分たちの田んぼをいつも気にかけてくれていることに気付くことができた。夏休みも、子ども達は毎日のように、水の管理と、田の見回りを続けることができた。

 

 このように、子ども達と「暁会」(主にTさんとKさん)との交流を大切にしながら田んぼ活動を進め、9月に無事、米を収穫できた。作業の後にはいつも、日記を書いたり、意見交流をしたりした。9人はそれぞれ、暁会の人達への感謝の思いを深めたり、無償で手伝ってくださるその姿から、将来自分も学区の役に立つ人になりたいと考えたりすることができた。また、暁会の人が頑張ってくださるのに、自分が頑張らないわけにはいかないと、意欲を継続して活動を進める事ができた。

 

 4月からずっと、田んぼ活動をやってきた。半分以上は暁会の方々に教えてもらいながらやってきたんだと思う。暁会の人や、5・6年生などが協力しながら、地味なことでも一生けん命やったから成功したんだと思う。そこで協力する大切さを知ることができた。約半年やってきて、田んぼ全体の作業が大変だということもあらためて分かった。暁会の方は去年もそれをやって下さっていた。去年だけでなく、毎年。自分の家の田んぼもあるのに、学校の田んぼのことを、私たちと一緒になってやって下さっていた。とてもありがたさが分かった。(途中を省略)稲刈りの時には、自分の家のコンバインで学校の手伝いをして下さった。自分としては、川中小の子達に、稲刈りの仕方などを十分に教えられたと思う。将来、田んぼをやるのか分からない。でも、今年学んた協力の大切さや、やるときの気持ちや態度は、大人になってからも大切だと思う。まだやることは残っている。それもしっかりやりたい。そして、暁会の方のように人に対して立派な存在になりたいと思う。今のうちに、下級生の子達に教えておいて、この田んぼ活動を続けて欲しいと思う。(6年生 Aの記録より)