生き物探し

 本校は、学校の目の前を青木川が流れ、東には「メダカ池」(ビオトープ)があり、北には裏山を利用した「常東ランド」がある。年間を通して、緑化施設を利用した委員会活動も多く行われている。    

 3年生では、こうした自然豊かな学校を取り巻く環境に焦点をあて総合的な学習を進めている。1学期は「学校のまわりの生き物を見つけよう」と学習をスタートした。5月は漁協組合の方の協力のもと、青木川で、稚アユの放流を行った。アユを放流した後、まだ冷たい水に足を浸しながら、川の中や川辺の生き物探しをした。期待していたほどの生き物は見つからず、「生き物はどこにいっちゃったんだろう。」「水が冷たいからどこかにかくれているのかな。」と疑問をもった子供たちだった。そこから、「どんなところに生き物がいるのか」ということに目が向くようになり、青木川だけでなく、いろいろなところで生き物を見つけて生き物マップを作る計画が立てられた。花の蜜を求めて集まってくるチョウやハチ。トンボは卵を産み付けようと水のあるところの上を飛び交っている。青木川の川石を持ち上げて裏返せば、びっしりとヤゴが張り付いている。葉の裏をめくってみれば、テントウムシの幼虫がいて、石の間をカナヘビやアリが通っていく。「メダカ池」では小さなカエルとオタマジャクシ。「水の底でじっとしていると保護色で分からないけど、動くとすごく見つけやすいね。」と生き物の素晴らしさを肌で感じている子供たちだった。

 ある日、雨上がりの午後に「メダカ池」へと生き物探しに出かけた。子供たちは雨が降った後は生き物は少ないだろうと思っているところがあった。ところが、メダカ池へ行くと、土手の草むらにはショウリョウバッタをはじめ、小さな生き物が草の間を動きまわっていた。池をのぞけば、メダカが群れをなして泳ぎ回る様子やオタマジャクシが泥の中を行ったり来たりしているのが目に飛び込んできた。それを見たひとりの子が「雨が降ったから生き物も喜んでいるんだね。」と言うと、別の子が、「雨が降っている間は葉っぱの裏とかでじっとしていたから、雨がやんで元気に動き回っているんじゃない。」と返していた。 

 本校は自然に囲まれている立地を生かして、いつでも、何度でも自然と関わることができる良さがある。繰り返し活動する中で、子供たちの小さな気付きを取り上げながら、「どんなところに生き物がいるのか」という課題から、「生き物のくらし」や「生き物の住みよい環境」へと子供たちの追究が広がるようにしていきたい。