~福岡学区の自然との共生を通して~

 福岡学区は比較的自然に恵まれた地域である。学校の周りには田畑が広がっている。しかし、多くの生徒がその自然に対し関心がない。育った環境しか知らないから仕方のないことかもしれないが、私自身の小中学校時代と比べても、自然の植物や動物・昆虫等に無関心だと感じる。特に生き物については、触れない、気持ち悪いという生徒も非常に多い。そこで、自分達の地域の環境に目を向け、地域と環境の両方について考えてほしいと感じた。

 

 まず、身近にいる生物を中心に、絶滅危惧種について学んだ。トキやイリオモテヤマネコなどメジャーな絶滅危惧種から入り、少しずつ生徒たちにとってかかわりのある生き物を紹介していった。ウナギやクロマグロで関心を高め、最後に、を生徒たちの福岡学区に住むニホンメダカやトノサマガエルを絶滅危惧種として紹介した。そのことから、絶滅危惧種に興味を大きくいだいたので、絶滅危惧種になった原因を探るべく、図書館やパソコン室を利用して調べる時間を確保した。

 

 詳しく絶滅危惧種を調べていく中で、「外来種」というものが、絶滅危惧種を増やす1つの原因であることを知った。また、絶滅危惧種は、生き物だけでなく、ニホンタンポポをはじめとした植物にも存在することを知り、この福岡学区はどうなっているのか調べたいという声が上がった。

 

 そこで、生徒達は生き物図鑑や植物図鑑を片手に、福岡学区のフィールドワークを行った。自分たちの学区にはどんな生き物や植物が、どんなところにどれだけ生きているのだろう?という疑問を持って、1年生全員で学区を歩き回り、写真を撮り、図鑑で確認した。

 

 その資料をもとにバイオリージョンマップを作成した。そこから福岡学区には、在来種と外来種の両方が多く混在して生きていることが分かった。しかし、外来種の割合の方が多いことから、これから先は在来種だらけになり、絶滅危惧種がもっと増えていくのではないかと危惧する声、そして、外来種の方が生命力や繁殖力が強いことから、私たち人間がもっと在来種を保護することで、守っていく必要があるという意見が出てきた。

 

 この授業を通して、生徒たちは自分たちの学区の生き物や植物について調べ、詳しく知ることができた。ともすれば見落としがちな学区の自然。しかし、その学区の自然に目を向け、考えることができた。これから先の未来を背負っていくのはこの生徒たちである。この福岡学区について関心をもち、少しでも自然を守っていきたいという気持ちが芽生えた生徒が多くいたことが成果である。