温もりのある社会を創り出すために
~福祉実践教室体験や高齢者福祉施設での交流を通して~

福祉教育では、誰もが心豊かで幸せな生活を送ることができるようにするために、自分のことだけでなく、周りの人も大切に思い、それぞれの人の考え方、生き方を尊重し、「共に生きる力」を培うことを目的としている。体験活動や交流活動での学びを通して、相手のために自分にできることを積極的に行動に移せるようになってくれることを願い、本単元を計画した。

 5年生の福祉の学習では、最初に書物やインターネットを利用して調べ学習を行った。高齢化社会が進んでいること。高齢者の体の特徴や体が不自由になっていくことに伴っての気持ちの変化、高齢者や障がいのある人を手助けするための多種多様な商品があることなど、たくさんの知識を得ることができた。

 11月に行った福祉実践教室では、視覚障がい者の方の生活について直接話を伺った。「目が見えないと不便だけれど、不幸ではない」「かわいそうと思わないでほしい」などの言葉に真剣に耳を傾けた。また普通に料理もしているが、それを助けてくれる調味料の種類を音声で知らせてくれる機器、色を判別する機器などの紹介を興味深く聞き、実際に体験して感心しきりの様子であった。その後、アイマスクをして階段の上り下りを体験したが、そばに寄り添って「次は〇〇だよ」と言ってもらえるだけで安心できることを実感できた。タイミングや周囲の状況が分かるような声かけをすることが必要だと理解できた。

さらに関節に牛乳パックをはめたり、おもりをつけたり、耳栓をしたりしての高齢者疑似体験を行った。箸で豆をつかむ、文字を読む、話を聞くなどの日頃は何気なくできている行為が「難しくて大変だった」という感想が目立った。「高齢者はうまく体を使えなくなるから、いらいらして短気になる人がいることが分かった」という感想も見受けられた。

 

 これらの体験を通して、高齢者や障がいのある人に対しては、何でもやってあげるという姿勢ではなく、その人にあった手助けは何かを考えて実行に移すことが大切であり、相手がどうしてほしいかを知るためにもまずは温かい言葉をかけようという結論に至った。

 学区には、高齢者福祉施設がいくつかある。2年前から年に一度、部活動の一環で特別養護老人ホームを訪問し、パネルシアターを披露している。今年度は、学校のすぐそばにあるデイサービスセンターも加えて2カ所でパネルシアターを披露することにした。話の内容は高齢者の方に受け入れられやすい物、誰もが知っていそうな物は何かを考え、昔話や明快な内容で面白さのあるものを選んだ。練習では、声の大きさやテンポに気を付けて、めりはりを付け、はっきりと言葉を話すことに力を入れた。12月に施設を訪問した際には、児童の歌に合わせて口ずさむ人、手拍子する人、児童たちの呼びかけに笑顔で元気に応える人がおり、職員の方の話も含めて好評であったと感じられた。児童たちから「また訪問して喜んでもらいたい」「今度は何をやろうか」という言葉が聞かれた。現在は、高齢者福祉施設の雰囲気をより明るくしたいという思いから、プレゼントの壁飾りを制作中である。