~生き物を身近に感じられる子供たち~

 

 岩津学区は岡崎市北部の自然豊かな学区である。小学校の運動場の周りにも、自然の森があり、そこを「がんばり山」として、休み時間などに遊びに行っている。1、2年生では、生活科の学習で虫をつかんだり、どんぐりを拾ったりしてきた経験がある。
 このような経験から、子供たちは自然に囲まれ、生き物にふれてきている。しかし、それらの生き物が、どのような生き方をしているかは知らないことがほとんどだ。とりわけ、植物に関しては興味をもっている児童は少ない様子だ。そこで、もう一歩足を踏み入れ、理科の学習にも役立てながら「生き物調査隊」を編成し、岩津小学校の生き物を調査することにした。
 
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 まず「春・夏の生き物」として6月に調査を行った。6月には、いろいろな生き物がいて、青々した草やきれいな花が目立っていた。その際、調査隊の手ほどきをしてくださるゲストティーチャーを招いた。ゲストティーチャーには、秋、冬にも来てもらい、年間を通して子供たちの学習に力を貸していただくことにした。
 ゲストティーチャーが用意したミッション「生き物みっけ」(生き物発見ビンゴ)を行った。調査隊が発見した生き物を調査後に、全員で確認すると、「生き物と食べ物」の関係が見つけ出せるようになっていた。つまり、「生き物は、幼虫が食べるものの所に卵を産む」「食べ物が違うから、ひとつの物がなくならない。幼虫も育ちやすい」など、子供たちは、新しい発見をしていった。この学習は、理科「こん虫を育てよう」「動物のすみかをしらべよう」の学習と関連し進めることができた。
 
写真2(トリミング有)

 次に「秋の生き物」として10月に、調査を行った。前回と比べると気温も下がり、校庭の木々も秋らしくなりつつある頃だった。
 ゲストティーチャーは、前回と同様に調査後に生き物の工夫が見つけられるように「生き物みっけ」のミッションを用意してくださった。子供たちは、今まで「ひっつき虫」と言っていた「アレチヌスビトハギ」のことを知った。つまり「実や種子を遠くへ運ぶための工夫」についていろいろな方法があることを知った。2年生の国語科でも学習して、よく知っていたセイヨウタンポポも、風によって種が運ばれているということを再確認し、新しい命を増やすための工夫なのだと実感できた子もいた。また、自分たちで育てていた「ホウセンカ」もはじけることで遠くに種を飛ばす工夫をしていると気付くことができた。

 写真3(トリミング有)

そうして冬、2月に「冬の生き物みっけ」活動を行った。冬は一見生き物がいなくなったように感じる子供たち。しかしこの学習を通して、子供たちは驚いた。生き物が工夫をして冬を越しているということを知ったからだ。


 写真4
こうして年間を通じて「生き物、みっけ活動」を行ってきたまとめとして、生き物の工夫のすごいことをまとめる活動をしていくことにした。各自で心に残った生き物の工夫をより深く調べる、または、同じような工夫をしている生き物は他にはないかを広げて調べるなど、各自が興味をもったことをもとに、追究活動をしていった。
 子供たちは、何気なく過ごしていた生活の中から、生き物のことを身近に感じ、さらに、あの小さな生き物でも一生懸命生き、工夫をして生きているということを実感することができた。この活動を通して、自分の生活を見つめ、生き物や環境に関心をよりもてればと願い、さらにまとめの学習を進めていきたい。

報告者:岩津小学校 川﨑志保子先生