将来像をたてることができる生徒の育成
~2年生リアルマップ作成を通して~

 一年生次に,夏休みを利用して身近な人への職業インタビューを行った。身近な人が働く姿や,働くときの注意点などを知ることで,生活するうえで様々な配慮や努力がされていることを知ることができた。また,2学期には自分の興味ある事柄をパソコンや図書室で調べて画用紙にまとめる「ドリームマップ」の作成を行った。作品には将来なりたい職業を書くのだが,「書かないといけなかったから,とりあえずこの職業にした」という言葉を多く耳にした。結果,本当になりたいかどうかを考えずにとりあえず職業を書いて作品を進めた生徒がおり,現実的なものではない将来像を考えることが多かった。

 そこで,より現実味をおびた将来像をつくるために,職場体験学習を基盤としたリアルマップの作成をその手だてとして行うことで,高い意識を持って生活し,将来に抱く不安を少しでも解消しようと努力できる姿勢を身につけさせたい。

 リアルマップでは①なりたい自分,②自分の良いところ,③これまでに学んだこと,④希望に向かうための自分,という4つのカテゴリーで構成されている。リアルマップ作成に向けて,1年次のドリームマップのふりかえりや自分の長所短所を確認した。また,職場体験学習で学んだこと,自分の夢の再確認をし,それに近づくために必要なものを現実的に考えるために,図書館やタブレットPC,パソコン室を利用して,職業調べを行う時間を設けた。

 

 その後生徒は,リアルマップのそれぞれのカテゴリーごとにまとめたプリントをもとに,作成を開始した。学校生活や日常生活などから今の自分を振り返りながら,この職業になるためにはどのようになれば良いのかを考える。このときに作成をしながら,再度自分の目指す職業は本当にこれなのか,自分がなりたい姿は本当にこういった姿なのかを考えることができた。このときに,周囲の友人と相談をしながら行ったことで,自分に合っているのかどうかを第三者の目からも判断をし,さらに自信を持って取り組むことができたり,より自分の未来の姿を想像したりすることができた。

 また,ドリームマップの夢をあまり深く考えずに書き,考えれば考えるほど自分の夢がわからなくなってしまった生徒もいた。しかし,リアルマップ作成のために調べてきたことや友人との会話の中で,自分に合っていると思う職業や,自分が好きなことに近い職業を見つけ出し,「仕事を実際に行うのなら」ということを考えた目標をたてることができた。

 さらに,希望に向かうための自分での,職業につくまでの道のりを書いたことによって,来年度の進路選択で,どういう進路をとることが望ましいのかを再確認した生徒が多かった。完成したリアルマップを見ていると,職業の多様性はあるものの,進路選択や,そのために身につけるべき自分の力など,今の自分を見つめ直して,現実的となった目標をはっきりと書いているものが多かった。