見つけよう矢南の自然、見つめよう未来の矢南

 矢作南小学校区には、鹿乗川が流れ、田んぼや畑が広がり、いちごやきゅうり、なすなどのビニールハウスを学区の至る所で見ることができます。

 本校の5年生は、総合的な学習の一環として、学区にある田んぼをお借りして、田植え、稲刈り、餅つきを体験しています。自然豊かな環境の中で育っている子どもたちに、米作りの体験と並行して、学区の自然に再び目を向けさせ、未来の学区についても興味、関心がもてるよう、4月、5月に学区の自然探検、環境調査も行いました。

 6月、学区で米づくりをされている方を講師とし、田植えのノウハウを教えていただいたあと、全員が田んぼに入り、田植えを体験させていただきました。苗を手にするのも初めての子どもが多く、どこで、だれが苗を育てているのか興味をもちました。また、すでに、田おこし、代かきが済んだ水田を見て、子どもたちは、どこから水を引いているのか、どうやって平らに整地しているのか疑問に感じました。初めてのことばかりでしたが、実際に水田を目の当たりにし、苗を植えていくことで、米ができるまでの過程、農家の方の取り組みなど、今まで以上に興味をもつことができました。講師の方に直接、水の管理、苗の育ち方、農機具について質問することができ、農家の方々の連携、米づくりへの熱い思いやこだわりなど理解を深めることができました。

 夏の間、順調に稲穂が育ち、鳥対策として案山子を各クラス4本作ることにしました。こちらの活動も、農家の方の協力により実現しました。家庭から持ち寄った帽子や服、タオルなどを竹で組まれた骨組みに巻きつけたり、縫い付けたりして、個性豊かな案山子が完成しました。稲穂の観察もかねて、再び田んぼへ出かけ、子どもたちが作った案山子を16体立てました。そのあと、田んぼの管理のことや、収穫までにすること、農薬の調整の難しさなど説明していただきました。自分たちが植えた苗が立派に成長している様子を見て、10月の稲刈りが待ち遠しくなりました。

 自然探検や田植えを体験して、子どもたちは環境のバロメーターである水に興味をもちました。生き物たちがすめる環境に不可欠なきれいな水について、これから水質検査などを行って調べていく予定です。また、総合的な学習の時間と並行して、社会科の学習で、日本の食糧生産、農家の人口推移、食糧自給率について調べ、日本が抱える問題について学びます。

 本校では、数年前から、米づくり農家の方、地域やPTAの方の協力により、年明け早々に、全校児童が参加できる餅つき行事が始まり、本校の特色の一つとなりました。5年生の子どもたちは、自分たちが作ったもち米を使って、餅つきをするのを楽しみしています。

 学年末には、感謝の会を開き、1年間お世話になった農家の方々を招待する予定です。そこで、総合的な学習で学んだこと、体験活動を通して感じたこと、未来の矢南学区について考えたことなどをワークショップ形式で発表できればと思っています。

 この学習を通して、今まで以上に学区に愛着をもち、身近な環境問題を自分自身の問題としてとらえ、未来のために今から自分ができることを始めていくことができる子どもたちを育てていきたいです。