~ 防災について考えよう ~

 2万人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災。まざまざと地震と津波の恐怖を感じた災害について幾度と話をしている。このことを教訓とし、生と死を分ける防災について常に考えていかなくてはいけないと感じる。近年予想される南海トラフによる巨大地震や津波の被害状況も報道され、全国的に防災についての改善策が講じられている状況にある。

 本単元は、「守る~防災について学ぼう~」というテーマで取り組む。地震の仕組みや怖さ、防災の知識、命を守る方法について学ぶ。調べ学習や話し合い活動を通して、児童の情報収集力・表現力を養い、課題解決能力を高める。また、学年全員で取り組む体験活動を通して、地震の怖さや命を守る方法の重要性を理解し、児童の防災に対する実践力を養い、みんなのために活動しようとする態度を養うことができると考えた。

(1)自分の家の防災調べ

まず、自分の身近にある防災対策について知ることが大切だと考え、自分の家の防災対策について調べることにした。児童それぞれの家庭で、どのような対策を行っているか、①家の内外の防災対策②家族との話し合い③非常用に用意している物④その他について調べた。調べた内容を発表し、防災グッズや防災対策などについて共有する時間を設け、自分の家の防災対策についてより深く考えることができた。

(2)起震車体験と防災講話

 南海トラフ大地震で起こると予想されている震度7の揺れを体験する活動を行った。震度7の揺れを体験し、恐怖を感じた児童が多かった。起震車の中では、家具も固定され動かない状態であったが、実際にこの揺れが来たときに、冷静になって身を守ることができるのかと不安になった児童は、避難訓練の重要性を実感できた。

(3)救急蘇生法を学ぼう

 命を守る方法として、救急蘇生法も学んだ。①心臓マッサージの方法②AEDの使い方③傷病者発見から救急車を呼ぶまでの3つを実際に体を動かしながら学習した。人形を使い、心臓マッサージの速さ強さ、AEDのパッドを貼る位置や手順、傷病者を発見した後のまわりへの声かけや自分の行動など細かく学ぶことで、大変さや重要性を改めて感じることができた。

(4)自分たちが取るべき行動について話し合う

 防災対策調べ、起震車体験等を終え、学校での避難訓練はきちんと行えているが、登下校中や自宅にいるときはどのようにすればよいのかという疑問が、学習の振り返りの中から出てきた。そこで、登下校中や自宅で児童だけのときどのような行動を取ったらいいかを話し合うことにした。「通学路では、高い壁を避けて体を低くする。」「ランドセルを頭に乗せる。」「自宅と学校のどちらが近いかを考え、地震が収まったら移動する。」など状況を考えた意見が出された。

(5)避難訓練と救助袋体験

 3学期の避難訓練では、どの時間に避難訓練を行うか児童に知らせず行った。児童は、放送が聞こえると、すぐさま、机の下にもぐり静かに指示を待っていた。運動場で遊んでいた児童も、委員会活動で教室を離れていた児童も、どのように動けばよいか自分なりに考え、行動できた。

 避難訓練後、6年生は救助袋体験を行った。実際に3階から滑り降りた。3階から降りるので怖さもあったと思うが、素早く行動できていた。

 児童は、今回の調べ学習や体験学習を通して、地震に対する防災対策の必要性を実感できた。児童同士が意見を交換し合う場を設け、自分の家の防災対策が十分であるかを児童自身が確認できた。

 今年は、コロナウイルス感染予防対策による休校期間のため、学習時間も限られており、調べ学習やまとめ・発信する時間を十分にとることができなかった。しかし、そのような中でも、地震の怖さや防災対策の必要性を自ら調べ、発信することで、今以上に児童の防災に対する実践力を養い、みんなのために活動しようとする態度を養っていくことが必要であるため、今後も継続して実践に取り組んでいきたい。

 

 

                                報告者:美合小学校 落合 湧也先生