学んだことを周囲に還元することのできる生徒の育成 ~3年生 竜南いのち守り隊の活動を通して~

 本校では、防災学習に力を入れている。1・2年次から総合的な学習の時間で防災について学ぶ(主に「自助」の視点)だけでなく、3年次では、「竜南いのち守り隊」と称して、「共助」の視点からさらに学びを深めていく。毎年2月に行われる「防災フェスタ」は、3年間で学んだ知識を1・2年生に伝える場であり、本校の伝統ともいえる。

 

 今年度の3年生は、1学期の修学旅行において、東京臨海広域防災公園の「そなエリア」で「東京直下72h TOUR」の体験学習を行った。タブレット端末を活用した防災クイズ、AR体験での危険箇所の確認は、生徒たちにとっても印象深い体験だったと察する。この体験学習で学んだことを学級で共有し、問題意識を高めた。

 

 夏休みには6年継続している東北被災地訪問を行い、35名の代表生徒が東日本大震災で被災された方からのお話を聞いた。実際に東日本大震災で被害を受けた方のお話には説得力があり、その語りに生徒たちも引き込まれていく様子が伺えた。また、被災時に津波で校舎が流されてしまった中学校を訪問し、被災時に被害を最小限にする工夫がされた新校舎の見学をするとともに、同い年の生徒から震災時の様子を聞き取り、交流をした。さらに、岡崎市から派遣された職員の方からのお話を聞き、復興支援に対する思いを感じとり、防災についての関心を深めるだけでなく、共助という視座があることに気付いた。

 

 2学期に入ってからは、東北被災地訪問で学んだことや感じたことを、参加していない生徒に伝える報告会を行った。忙しい合間を縫っての準備・練習であったが、生徒一人一人の「伝えたい」という意欲によって、スムーズに進めることができた。報告会が終わったあとの生徒の表情が印象的であった。また、南海トラフ巨大地震についての知識を得ることで、防災についての課題を自分事として捉えることができた。

 

 これらの活動を踏まえて、衣・食・住、そして知(知識・つながり)のカテゴリを設定した。生徒たちは、この4つの中から自らの関心に一番近いものを選び、追究課題をそれぞれ設定した。本やインターネットだけでなく、東北訪問の際にいただいた資料など、様々な資料を活用し、学区とのつながりを意識しながら調べ学習を進めていった。

 

 「防災フェスタ」の本番は、2月中旬である。様々な人から学んだこと、感じたことを、周囲に還元する姿が見られることを期待している。