地域とともに助け合おう(南中2年生の実践)
~自らの命を守り、地域とともに生き抜く防災学習~
いつか必ずやってくると言われている南海トラフ巨大地震。そのための防災・減災対策は急務である。多くの命を守るため、本校でも、昨年度より総合的な学習の時間を使い、防災学習を進めている。
2年生の生徒は、昨年度の学習では【自助】を中心に、地震が起こるメカニズムを調べたり、講演を聞いて日頃から防災意識をもって過ごすことの大切さを学んだりしてきた。また、起震車体験や初期消火訓練、防災倉庫の備蓄品調べ、学区の防災マップづくりといった活動を取り入れ、実感の伴った学びを積み重ねてきた。本年度は【共助】へと視点を広げていきたいと考えている。
震災発生時には自分だけでは生き延びることができない。地域全体で協力し、生き延びる準備と心得が必要である。そこで、単元「地域とともに助け合おう」を設定した。
最初に行った「災害が起きたらどうなる?」では、震災が発生の状況から、数ヶ月後までに起こりうる事態を想像する活動を行った。避難の動作や周囲の状況、二次災害の発生などについて、今までより具体的に考えていくことができ、ライフラインの復旧についても、過去の災害での復旧までにかかった日数を知ることで、「何日も風呂に入れない」「夏だったら熱中症になるかもしれない」など、より明確な生活の場面を想像することができた。避難所でボランティア活動をして役に立ちたいという思いを抱いている生徒もおり、その思いを周囲に広げることができた。
そこで続いて行った、「避難所運営の役に立つにはどうしたらよいかを考えよう」では、避難者の年齢や性別など、それぞれが抱える事情が書かれたシナリオに沿って、避難所である体育館や教室にどう誘導するかを考えた。東日本大震災発生時にも、実際に避難所を設営する際や、避難所になっていない児童館に避難者が殺到した際に、避難所運営を想定するゲームの経験が役立ったという事例がいくつもある。状況によって、人によって、立場によって、求める支援は違う。それをシミュレーションすることで、生徒たちは、それぞれが抱える困難を多面的に捉えつつ、自分なりの基準をもって最善の判断をしていく必要性と難しさを感じていった。また、東日本大震災や熊本地震での避難所の様子を知ることで、中学生の自分たちだからこそ役に立てることもあるという意識をもつことができた。
災害時には、それぞれ身体的・精神的にダメージを受けている中で、そのダメージを抱えた人たち自身が避難所運営などをしていかなくてはならない。今回の学習を通して、辛い時や苦しい時こそ助け合うこと・思い合うことの大切さに気付くことができ、日頃から支え合える関係を学校や地域で構築していかなくてはならないという思いをもつことができた。今後は、日々のコミュニケーションを大切にしつつ、家庭で話し合いをしたり、学区総代や民生委員の方の話を聞いたりし、近所での助け合いの方法や備え・避難経路や手順の確認などについて確認していきたいと考えている。これからも、災害を他人事ではなく自分事と捉え、地域とともに生き抜くための、切実感をもった学びを深めていきたい。