学区のブドウ栽培から学ぶ「やまびこ学習」

 恵田小6年生は、やまびこ学習(総合的な学習の時間)で、ブドウの栽培活動に取り組んでいます。学区内の駒立町を中心に行われているブドウ栽培は有名ですが、子供たちの多くはぶどう園から離れた花園団地に住んでいて、地元の人や自然、特産物に接する機会は少ないです。

 また、恵田小は年々児童数が減少し、将来的に学校存続も危ぶまれてしまうかもしれません。だからこそ、地域を愛し地域の将来を担う児童を育てたいと考えます。

 地域の方を講師としてご指導を受け、恵田学区の特色ある産業であるブドウ栽培の体験活動を通して、地域を身近に感じ、地域に愛着をもち、地域の将来を考えることのできる児童を育てたいという思いのもと、実践を行っています。

 

 主な学習活動として、4月から校内にあるブドウ園の枝や芽の観察活動をし、ブドウの成長に合わせて、まんべんなく日光が当たるよう枝の誘引作業、甘みのあるブドウにするための摘粒、病気や風雨、害獣から守るための袋がけを行ってきました。これらの作業は地元のブドウ農家の方が指導をしてくださいます。子供たちは一つ一つの作業の意味を知り、首が痛くなるほどに上を向きっぱなしで行う作業を体験し、ブドウ作りの大変さを実感しました。さらに自分たちとともに学校のブドウ作りに気持ちを込めてくださる地域の方の温かさや優しさに触れることができました。

 

 子供たちはブドウ栽培の活動を通して、なぜ学区でブドウ栽培が盛んに行われているのか、どうして校内にブドウ園ができたのか、ブドウ園を荒らす害獣とはいったい何なのか等、いくつかの疑問をもちました。そして調べ活動を行うことで、ブドウ栽培が学区の特色ある産業に発展するまでの地元の人々の苦労や努力、知恵や工夫に気づくことができました。

 

 9月11日、6年生が中心となって準備を行い、ブドウ初狩りが行われました。500房以上の濃紺に美しく輝くブドウを前にし、6年生の子供たちは、今まで調べたことを発表し、他学年や保護者、地域の方に広めました。また、ブドウをとるために下学年を優しくだっこする姿や「おいしい」という声を聞いて喜ぶ6年生の顔には充実感が表れていました。

 

 初狩りしたブドウは交流を続けている岡崎聾学校に届けたり、学区敬老会で敬老者に振る舞ったり、お世話になった地域の方にお配りしたりして学校と地域をつなぐ役割を果たしています。恵田小のブドウの木は、現在はとても元気ですが、すでに30年近くたつ老木です。学校と地域を結ぶこの大切な活動が未来にもつながるよう、今後の在り方も見据えて活動を進めていきたいと考えています。