「学校の緑を守る活動」 ~「子ども緑の勉強会」を通して~ 

 本校では、子どもたちが毎日笑顔で通える学校づくりの推進として緑化活動を位置づけ、積極的に環境美化に取り組んでいる。この緑に親しみ、緑を育てる活動には、自然と主体的にかかわり、緑との触れ合いの楽しさや生き方を学ぼうという願いが込められている。校内には、各学年の学級園の他にも、ベリーズランド、オレンジランド、フルーツランドといった果樹栽培園があり、そして、お茶や自然薯、シイタケの栽培も行われている。

 その中で、高学年が世話を担当するオレンジランドには、みかん、ビワ、レモンなどが植えられているが、みかんの木の生育状況が思わしくないという課題があった。そこで、市の環境緑地課主催の『子ども緑の勉強会』を依頼し、樹木医の方を招いて、課題解決へと行動を起こすことを考えた。

 当日は、市の環境緑地課の方2名と樹木医の方が2名来てくださった。5・6年生17名は、まず初めに、教室で樹木医の方から、樹木医の仕事や樹木の生育にとって大切な条件を教えていただいた。子どもたちに語りかける分かりやすくていねいなお話に、子どもたちは聞き入っていた。また、子どもたちの意識が高まった段階で、「樹木の生育を助けるためには、どんなことを調べる必要があるか」と投げかけ、現地調査を行うことを告げると、子どもたちは、意欲満々でオレンジランドへ向かった。

 現地で実際に行ったのは、「土壌の硬度」と「土壌の酸性度」の調査である。「硬度」については、水を撒いた土壌から土を採取し、手で丸めた時に棒状になるかを調べたり、「硬度計」という器具を使って測定を行ったりした。子どもたちにとっては、土に親しむ調査活動と普段では体験できない器具を使った貴重な活動となった。「酸性度」については、酸度計の数値から、土壌の質の良し悪しを判断するものであったが、やや難しかった。それでも、樹木医の方から、「オレンジランドの土の質はまあまあだ」という診断を受けた子どもたちは、安堵の表情を浮かべていた。その後は、「自分たちでできること」として、「根の届く所に穴を掘り腐葉土を与えること」「水遣りの頻度」を指導していただいた。

 後日、「自分たちでできること」を子どもたちは実行に移した。「緑の勉強会」の感想には、「みかんの木が実をつけるほどに育つにはまだ時間がかかるけれど、今の1年生たちが何年後かに、みかんを収穫できるといいな」という一文があった。「緑の勉強会」の経験が、子どもたちの緑を大切に思う心を育んだということが実感できる実践となった。