虫さんのことを考えて,世話をしていこう -男川小1年-
虫さんのことを考えて,世話をしていこう -男川小1年-
【単元のねらい】
- 自分で見つけた虫に親しみをもち,大切に世話することができる。(関心・意欲・態度)
- 虫の立場に立って考え,世話の仕方を工夫したり,思いを深めたりすることができる。(思考・表現)
- 虫と親しむことを通して,それぞれの虫に合った世話の仕方や住みやすい環境があるということに気付くことができる。(気付き)
【実践の様子】
休み時間,A児がバッタを捕まえて教室に戻ってきた。A児が見つけた1匹のバッタに,クラス中が目を輝かせながら触れ合っていた。
「あきとなかよし」の導入では,秋という季節から様々なものを連想した子供たち。その中で、特に虫を意識させ,その後の「むしさん見つけ」への意欲を高められるように,バッタを見つけてきたA児の話をした。A児に,昨日見つけたバッタはどうなったか聞くと,「今は家にある虫かごの中で飼っているよ。昨日はキャベツをたくさん食べていたよ」と詳しく話しはじめた。その様子を聞いて,子供たちは再度虫へと意識が向いた。
これからどのようなことをしたいか問い掛けたところ,多くの子供たちが虫を育てたいという思いをもっていることが明らかになった。
虫を見つけに行くために,「むしさん見つけ」の計画を立てた。まず,子供たちに「虫は学校の中のどこにいるのかな」と問いかけると,バッタを見つけたA児が「僕のバッタは,男川ランドの近くの草の中にいたよ」と発表した。その発表を受け,「私はアサガオに水をあげていたら,アサガオの鉢の下からダンゴムシを見つけたよ」「僕は花壇の近くで,バッタが飛んでいるのを見たよ」と、休み時間に虫を見つけていた子供たちが発表し出した。これらの発表を受け,男川小のどの辺りに虫がいるのかを全員で共有することができた。また,「むしさん見つけ」をするときにどんな格好がよいのか,何が必要かということを話し合った。子供たちは帽子や体操服,軍手,虫かご,虫取り網がいるということを理由とともに発表し,準備をした。
教室で前時に話し合ったことを思い出し,外へ出た時のルールを確認してから,「むしさん見つけ」に出かけた。なかなか虫が見つからない子には,「○○くんがアサガオの植木鉢の近くで虫さんを見つけたって」と声をかけると,植木鉢の近くまで探しに行く姿が見られた。
教室に戻った後,虫を見つけたときの気持ちを聞くと,「びっくりした」「嬉しかった」「大切に育てたい」ととても嬉しそうに話していた。すでに虫に名前を付けていたB児の話をクラス全体に伝えると,「私も付けたい」と言い出し、それぞれ自分で捕まえた虫に名前をつけた。
世話を続ける中で、虫ごとに今どのような世話をしているのかを発表し合い、クラスの友達が今どのような世話をしているのか,また,どのような世話が虫にとってよいのか話し合った。話し合いを進める中で,子供たちは虫の気持ちになって考え,毎日のえさやり・えさ変え,掃除が大切さだということに気付くことができた。
お世話を続けていく中で、虫が死んでしまうこともあった。子供たちはとてもショックを受け,校庭の隅に埋めに行ったり,お墓を作ったりしていた。この経験から子供たちは,「どうして毎日えさをあげていたのに,死んでしまったのか」という疑問をもちはじめた。そこで,それぞれの虫のすみかに必要なものについて根拠をもって話し合う場を設けた。
虫を捕まえた直後は,本やインターネットで調べて,虫のすみかを作っている子供もいたが,「ベッド」や「遊び場」など自分がほしいものを作って楽しんでいる子供もいた。そこで,虫を見つけた場所の写真を一緒に提示して視覚的に分かるようにしたり,子供が捕まえた場所はどんな場所だったか問い掛けたりした。それぞれの虫に合った,住みやすいすみかにするということが,虫にとってよいということに気付きはじめた。
この話し合いを経て,子供たちは虫のためにはえさだけでなく,すみかも大切であることに気付くことができた。そして,自分の準備した飼育環境が完璧でないことに気付き,「虫さんのおうちを直して,虫さんたちに長生きしてほしい」という思いをもって,もう一度作り直した。
これらの学習を経て,子供たちは,虫の立場になって考えられるようになり,12月になった今でも,バッタやカマキリ,ダンゴムシ,コオロギを大切に育てている。今後は虫とともに成長した自分自身に気付くことができるような手だてを考えていきたい。
☆服装や持ち物も自分たちで考えて、「むしさん見つけ」を行う意欲的な活動が展開されたことがうかがわれます。自分で捕まえた虫だからこそ、名前を付け、大切に飼育できました。12月まで世話を続ける中では、避けて通れないのが生き物の死です。校庭の隅にお墓を作り、祈りをささげる中で命の尊さやはかなさを子供たちなりに感じたことでしょう。虫にとって少しでもいいすみかにするために調べて、話し合って、環境を整え、虫への思いを深めることができました。上手に卵を産み、冬越しをできた虫もいることでしょう。自分たちの育てた虫の子供たちをまた春から育てられるようになるのが楽しみです。(生活科指導員)