昔の遊びに挑戦!「へんしん むかしあそび名人」 -矢作東小1年-
昔の遊びに挑戦!「へんしん むかしあそび名人」-矢作東小1年-
【単元のねらい】
- 昔からの遊びに関心をもち、いろいろな遊びをしたり、教え合ったりしようとする。(関心・意欲・態度)
- 昔からの遊びを教えたり遊び合ったりするなかで、遊び方を考えたり工夫したりすることができる。(思考・表現)
- 昔遊びの楽しさや遊びを工夫する面白さに気付くことができる。(対象への気付き)
- 繰り返し練習したり人と関わり合ったりしたことで、できなかったことができるようになった自分や、人数や場所によって遊びを工夫できるようになった自分に気付くことができる。(自分自身への気付き)
【実践の様子】
「お正月、みんなはどんな遊びをしたのかな」と聞くと、ゲームで遊んだ子が多い中、たこ揚げやすごろく、かるた、お手玉など、昔からの遊びを家族と一緒に楽しんだという子もいた。中には、おじいちゃん、おばあちゃんたちに教えてもらいながら一緒に遊んだと発表する子もいた。
本時は、いろいろな昔からの遊びがある中から、「おはじき」を教材に選んだ。子供たちにおはじきを見せると「見たことがある」「やったことがある」と、すぐに反応が返ってきた。そこで、「おはじき遊びに挑戦しよう」を学習課題に授業を展開していった。枠の外から真ん中の赤枠の中へおはじきを入れる遊びを設定した。「どうやって入れるの」の発言に、「どうやってやろうか」と、全員に問いかけた。
①指ではじく。
②手裏剣みたいにやる。
③投げ入れる。
など、子供たちは様々な入れ方を考えて発表した。
1回目。子供たちは5・6人のグループに分かれ、赤枠の中におはじきを入れようと、夢中になって何度も挑戦した。赤枠の中におはじきが入った友達に、どのようにして入れたのかを聞いたり、グループ内で教え合ったりした。また、何の指示も出さなくても、やる順番をじゃんけんで決めるなど、おはじき遊びを通して、人と関わり合う姿を見ることができた。
その後、赤枠の中にどのようにして入れたかを発表し、全員で話し合う場を設けた。子供たちは、おはじきを弾く様子を「でこぴん」と表現し、指を使っておはじきを弾いて見せた。弾く強さや速さを変えることで、おはじきをねらったところへ弾き入れるこつを見つけた子もいた。また、手裏剣のように、おはじきを滑らせて赤枠に入れていた子供たちから「滑りすぎたり、届かなかったりして、なかなかうまく滑っていかない」という意見が出た。児童Aは、おはじきの模様に着目し「おはじきのぼこぼこしている方(模様が入っている面)を下にしてやると、入りやすい」と発表した。おはじき遊びに何度も挑戦していく中で、おはじきの表裏に着目した気付きである。子供たちは、おはじきを触り、「本当だ。あった」と、ぼこぼこしている面が確かにあることを確認した。
2回目。友達の発表や実演から赤枠の中に入れるこつをつかんだ子供たちは、今度は、「1回で赤枠の中に入れる」というレベルアップした課題に挑戦した。おはじきの表裏を確認し、1回目よりも慎重におはじきを弾いている子供たちが増えた。気付きを話し合う場で意見を交わし、実演を見ることで、新たな気付きと出会うことができたと考える。特に児童Aは、1回目ではグループの子と会話をすることもなく、黒板に書いてあることを、一つずつ確認しながら黙々とおはじきを弾いていた。しかし、2回目には、同じグループの子から「こっちでいいの」と質問されたり、「本当だ。入った」などと会話をしたりと、みんなと一緒に赤枠をねらって挑戦していく姿に変容した。また、なかなか入らない友達に声をかけたり、一発で赤枠の中に入ると声を上げて友達と一緒に喜んだりと、おはじき遊びを楽しんでいる様子が見られた。教師が全体での場で児童Aの発言を取り上げ、クラス全体へ提示したことで見られた変容と考えられる。
おはじき遊びの感想としては、「楽しかった」「いろんなやり方があった」「技がたくさんできた」「みんなでルールを決めてできた」「赤枠にちょうど入るスピードが分かって楽しかった」など声があり、おはじき遊びの楽しさとこつを習得する時間となった。
「次は、どんな昔からの遊びをやりたいですか」の問いに、こま、すごろく、かるたなどの声が、あちらこちらから聞こえてきた。1月下旬に学区のおじいさん、おばあさんたちに昔からの遊びを教えてもらう「ふれあいの会」が行われる。子供たちは、昔からの遊びの楽しさを様々な面(教え合い・技能上達・こつ・工夫)から学ぶことだろう。その後、繰り返し練習をして、多くの昔遊び名人を誕生させたい。そして、2月に予定されている、幼稚園・保育園児との交流会で、昔からの遊びを披露することで、できるようなったことが増えた自分自身の成長に気付かせたい。
☆本単元は、生活科の学習指導要領にある内容(5)「季節の変化と生活」と内容(6)「自然や物を使った遊び」を関連付けています。さらに、地域のお年寄りや幼稚園児、保育園児との交流の場を設定しているため、内容(8)「生活や出来事の交流」との関連も図っています。このように、いくつかの内容を関連付けて行うことで、ダイナミックな単元を構成することができ、お互いの内容を実りのあるものにすることができます。(ただし、それぞれの内容でねらう態度や思考、気付きを単元目標の中にきちんと設定しておくことが必要です)矢作東小学校の実践は、「おはじき」という昔遊びの教材を切り口にして、多様な昔遊びへと目を向けられるようにし、その楽しさや面白さに気付くことができるようにしています。子供がおはじき遊びに没頭している表情から、「おはじき」という教材のもつ魅力が分かりますね。「『おはじき』でやりたい」という教師の願いを、子供が「おはじきをやりたい」に見事に転換したところがすばらしいですね。(生活・総合指導員)