自然との関わりあいを通しての成長 ~やさいをそだてよう~ -矢作南小2年-

【単元のねらい】

  • 野菜の変化の様子に関心をもち、世話の仕方を工夫し、大切に育てていく中で、野菜にも生命があることや成長していることに気付くことができる。

【実践の様子】

 気付きを生み出すためには、対象に関心をもち、強い願いや思いを抱いて、継続的に対象に関わっていくことができるようにする必要がある。本単元では、強い願いをもって意欲的に野菜と関わり続ける活動を行っていくことで、子どもたちに、生命を尊重し、生命の恵みに感謝したり、自らの成長を喜んだりする心を育てたいと考えた。

 単元の初めに、子どもたちに夏野菜を育てていこうと提案した。すると、子どもたちは目を輝かせて話を聞き、野菜を育てることに興味を示している様子だった。そこで、子どもたちの野菜栽培への意欲をさらに高めるとともに、単元の学習の見通しをもたせることを目的として、野菜を育てた後、収穫した野菜をどうするかについて話し合った。

 野菜パーティーの計画を立てる段階で、子どもたちから「ぼくたちが野菜を育てられるようになったのは、これまでいろいろなことを教えてくれた先生たちのおかげだから、お世話になった先生たちを招待したい。」という意見が出た。そこで、お世話になった先生たちに、感謝の気持ちを伝える野菜パーティーになるよう準備を始めた。野菜パーティーの流れを決める話し合いで、ある子どもが「ぼくたちが心をこめて大切にお世話した野菜だということを、食べてもらう人たちに伝えたい。」と発言した。A児やB児を含むほかの子どもも皆その意見に賛成し、野菜パーティーで伝えることになった。これまでの自分たちの野菜栽培に対する頑張りに気付いている子どもたちの様子が覗えた。

 単元の最後に、野菜栽培を通して頑張ってきたことを発表する活動を行った。子どもたちは、「毎日の水やりを忘れなかったよ。」「友達の野菜につるが絡まらないように、置く場所を工夫したよ。」と、自分なりに野菜栽培で頑張ってきたことを発表することができた。中には、「今度は自分一人で野菜を育ててみたい。」と、野菜栽培への意欲を見せるとともに自分の成長に気付き、さらに挑戦しようとする子もいた。友達と一緒に毎日水やりを忘れずにできたことを発表したり、毎日の水やりと観察を頑張ってきたことを発表したりすることができた。また、家に苗を持ち帰ってからも継続して野菜栽培を行っていきたいと発言し、これまで自分が野菜栽培で頑張ってきたことに気付き、自らの頑張りを認めることができていた。

 野菜への名前付けや、野菜との対話活動によって、野菜を生命のあるものとして尊重する子どもの姿が見られるようになった。また、給食をいつも減らしているA児が、野菜パーティーでは、自分で育てた野菜をおいしそうに食べ、完食できた。この姿からも、自分が育てた野菜を大切にしている様子が覗えた。

 「野菜パーティーをする」という目標を決め、見通しを持たせたことで、目標に向かって野菜栽培を続けることができた。そして、継続的に活動できたことによって、最後まで世話をすることができた自分自身の頑張りや成長に気付くことができた。

 

☆長期にわたる継続的な栽培活動では、子どもの意欲が減退することがあります。そうしたことにならないために、本実践では、子どもたちが「やさいパーティー」を開くという目標をもてるようにしました。お世話になった人においしい野菜をふるまいたいという思いをもてたことで、子どもたちは、毎日野菜の様子を気にかけ、おいしくなるような世話の仕方を工夫したことでしょう。また、自分自身への気付きを得られるように、振り返りをすることは有効です。本単元では、頑張ってきたことを発表する中で、子どもたちは自分の活動を振り返ることができました。ここで得られた満足感、自己有用感などが、次の活動への力となります。子どもの意識の流れを大切にしながら、どうすると振り返りができるのかを工夫するといいですね。(生活・総合指導員)