「生きものとなかよし」-連尺小2年-

[単元のねらい]

  • 学校のまわりにいる生き物に目を向け、自然に親しむことができる。(関心・意欲・態度)
  • 生き物の飼育の方法を調べ、それぞれの生き物に合った飼育方法を考えることができる。(思考・表現)
  • 生き物がすんでいた場所が生きものにとってすみやすい場所であることに気付き、同じような環境を作るようにすることができる。(気付き)

 

[実践の様子]

 野菜の苗植えで見つけた大きなミミズや掃除の時間に見つけたダンゴムシに興味津々な本学級の子供たち。そこで、学校の周りにいる生き物についての興味を深める本単元を設定しました。

 「学校のまわりにどんな生きものがすんでいるかな?」という問いに、「ミミズがいるよ」「バッタも見つけたことがあるよ」と発見した生きものについて多くの子が発言をしました。児童Aの「掃除の時間に連尺ランドのどぶの中でダンゴムシを見つけました」という発言を皮切りに、学校のどこにすんでいるかという具体的な場所も挙げられました。すると、「生きものを探しに行きたいな」「心字池のヌマエビをつかまえたいなあ」というつぶやきが聞こえ、次時に学校の周りの生きもの探しに行くことになりました。

 多くの児童が生きものに興味を持ち、モンシロチョウを追いかけたり、池に網を入れ、メダカやヌマエビを捕まえたりしました。一方で、児童Bは友達の様子を見ているばかりで、自分から生きものを探そうとしませんでした。児童Bは普段の休み時間なども友達とお絵かきをして過ごしていたり、野菜の苗植えのときにも土をおそるおそる触っていたりと、体を動かしたり、自然にかかわったりすることを積極的に行う児童ではありませんでした。そこで、「Bさんは、何を飼いたいと思っているの」と尋ねると、「ダンゴムシがいいな」と答えたので、一緒に探しに行くことにしました。しかし、児童Bは、校庭の乾いた土のところに座り、土を掘っていました。教師が「そこにはいないんじゃないかなあ」と声をかけると、友達と相談し、木の下の日陰になったところに移動しました。近くの石をどかすと、ダンゴムシがいましたが、みつけたものの、なかなか触ろうとしません。教師の「捕まえてみたら」という声かけで、やっとダンゴムシをつまむことができました。

 ところが翌日、児童Bの捕まえたダンゴムシは虫かごの中で死んでしまっていました。「かわいそうだからお墓を作ってあげる」と児童Bは運動場に行き、またダンゴムシをつかまえてきました。虫かごには、ダンゴムシといっしょに土や落ち葉も入っていました。

 次の生活科の授業では、捕まえた生き物を飼うためにどんな準備をしたらよいかを考えました。話し合いが進む中で、児童Bに「Bさんは、はじめに捕まえてきたダンゴムシは死んじゃったよね、いまのはどうかな。なんで生きているのかな」と問いかけると、「土を入れたり、落ち葉を入れて、ダンゴムシがすんでいるところと同じ様にしたからかな」と意見を言うことができました。

 この発言から「すんでいた場所と同じ様にすることが、すみやすい」という考えを学級の中でまとめることができました。生き物への興味・関心を深めていくことで、多くの児童が小さな生き物へも愛情をもって接することができるようになりました。

 

●活動的な子供たちの動きの中から始まった活動の中で、教師が、ふだんから自然に関わることを積極的に行わない児童Bに目をかけ、寄り添いながら児童Bの気付きを見取り、全体の場で価値付けてみえることが分かります。自立への基礎を養う生活科・・・この活動が、児童Bの大きな自信となったことでしょう。(生活・総合指導員)