気付きの質を高めるための手立て
  • 生活総合学習発表会への意欲を高め、自らの成長にも気付かせるために、昨年度の発表会の映像を視聴させる。
  • ニュース番組として取り上げる内容を決めるために、町探検後に作成したまとめの模造紙を掲示する。

 子供たちは2学期に2回の探検を行いました。1度目はクラスそろって学区全体の探検、2度目はグループごとの探検でした。自分の興味のある施設や場所に分かれ、コンビニエンスストア、信用金庫、お寺、郵便局、工場・美容院の6か所を探検しました。探検を終えた子供たちは、自分たちが撮ってきた写真やいただいたパンフレットを使って模造紙に写真やパンフレットを貼ったり、探検先で教えてもらったことや気が付いたことを吹き出しに書いたり、レイアウトの工夫や字の色を変えたりして、グループごとに探検のまとめを作成しました。

 その後、昨年の生活総合発表会の様子をビデオで見せ、発信活動への動機づけとなる授業を組みました。最初は、昨年度の自分たちがやった発表のビデオを視聴させました。ところが当時を思い出すというより、だれが写っているかに関心が集まってしまったので、「何をしているかを見よう」と視点を与え、次に昨年度の2年生の発表を視聴しました。何をしていたか、何の紹介をしていたかと発問し、発表内容や発表方法・工夫などについて話し合わせました。ここで、教師はテレビ局のニュースのように実況中継を演じ、発表の新たな方法も提示してみました。「こちらスタジオで~す。そちら円福寺にいる市川さ~ん、聞こえますかあ。」と演じる姿に子供たちは拍手喝采でした。子供たちは一気にニュース番組作りへの興味が高まり、グループごとにニュース番組を作ることが決定しました。

 その後、探検場所ごとにニュースになりそうなことを話しあわせました。コンビニエンスストアにあった防犯用カラーボール、美容院でやってもらったイチゴスプレーなど、それぞれの子供たちが1番感動したことが次々に板書されました。信用金庫を探検した子供からは「紙で1千万円作ってみんなに見せたい。」、車の解体工場を見た子供は「車の模型を作って壊すところをやりたい。」など、ユニークな発想やひらめきも瞬時に出てきました。「あそこに書いてあるけど・・」と掲示してある模造紙を指し示しながら、発表内容を発言した子供もいました。探検先でインタビューしたメモや、教室に掲示してある探検のまとめなど、自分たちの学習してきた足跡が手の届くところにあることで、今までの活動を振り返りしながら新たな学習の足場にしていくことができたと思います。

 次の段階では漠然としていた発表内容や方法の話し合いをより詳しく具体的に進めるつもりです。どんな発表方法を選ぶかは、再度、昨年度の発表会のビデオを見せることで、発表の工夫や手段を参考にさせようと思います。そして、発表内容についても、まとめの模造紙を手掛かりに、「みんなに教えてあげたい3つのニュース」というように、数の条件を与えていくつもりです。2月の生活総合発表会は、アイデアいっぱいの楽しい「いわづのひみつにズームイン!」になることでしょう。

●子供たちが学びを振り返るためにも、探検のまとめを作成することや、学習のポートフォリオ、写真、ビデオなどは有効ですね。先生が手ごたえを感じられたように、すぐ身近に学習の足跡が見られることは次の学習の足がかりにもなりますね。できれば、6つの探検場所の共通点を見つけ出す振り返りの場(話し合い)が設定されると、町にある施設やお店のよさだけでなくそこで働く人にも気付くことができて、町への愛着がさらに深まりますね。私たち教師はややもすると、探検のまとめや発信活動の出来栄えばかりに目がいきがちです。でも、そこに至る過程での子供の言動、思い、工夫、態度、努力、技能の習得なども見取って評価していかなくてはなりません。子供たちが岩津のひみつニュースを頑張って作る姿が目に浮かびます。活動の中での思いや言動を見取っていけるとよいですね。そして、ニュース番組での子供たちの活躍がとても楽しみです。(生活・総合指導員)