伝えよう,大好きな秋 -広幡小1年-
伝えよう,大好きな秋 -広幡小1年-
【単元のねらい】
- 秋の自然に関心をもち,自分から進んで落ち葉などを集めたり,友達と協力しながら遊んだりしようとする。(興味・関心)
- 落ち葉や木の実などを使って,遊び方を工夫し,思ったことや感じたことを表現することができる。(思考・表現)
- 季節の移り変わりや秋を感じながら,落ち葉や木の実などの秋の自然物を利用して,みんなで遊ぶ楽しさに気付くことができる。(気付き)
【実践の様子】
2学期に入り,生活科「いきものとなかよし」の学習で,楽しく虫と触れ合う子供の姿があった。コオロギを捕まえた子は「きれいな音がするよ」と視覚だけではなく,耳や心でも,虫と親しんでいた。
生き物や自然への関心が高く,生き生きと生活科の学習に取り組んでいる子供たちに,「あきとふれあおう」の学習では,諸感覚を使って,体中で秋を感じてほしいと思い,本単元の実践をはじめた。
10月に入り,身の回りの秋について考えた。担任の「秋にはどんなおくりものがあるかな」の問いかけに対し,「学芸会があるよ」「お月見をしたことがあるよ」「どんぐりをひろったよ」「やきいもができるよ」など,自分が体験したことのある秋の行事や,見たことのある秋の植物について活発に話し合いをすることができた。秋への関心が高まったところで,校庭へ秋見つけに向かった。
校庭には秋がいっぱいで,子供たちは目を輝かせて秋見つけをしていた。イチョウの「いっちゃん」の前では,銀杏が落ちているのを見て,「へんなにおいがする」と鼻をつまみ,諸感覚を使って,体で秋を感じる場面があった。どんぐりをたくさん拾っている子は,どんぐりのツルツルしたところや,コロコロ転がる様子を何度もうれしそうに見ていた。
見つけたものを教室に持ち帰り,「あきのおくりものメモ」に書いた。メモには,「耳をつかってみつけたよ」や「いいにおいがしたよ」「さわるとざらざらしたよ」などの記述があり,自分の感じたことを素直に書いている様子があった。
校庭で見つけた「あきのおくりもの」を「見てみて,わたしが見つけたんだよ」「これは,あの木の下に落ちていたよ」と言う子供の姿が出てきたところで,伝え合いの場を設けた。「今日は,自分の見つけた秋のおくりものを,友達に伝えるんだよ」と言うと,照れながらも,うれしそうな表情を見せた。
「あきのおくりものメモ」を見ながら,10センチ四方の付箋に見つけたものの絵を書き,どんな感じがしたか,書いていった。同じどんぐりの絵を描いている子でも,「つるつる」と書いている子もいれば,「ざらざら」と書いている子もいた。
その後,書いた付箋を持ち寄ってグループで,目,鼻,口,手,耳,?のマークが書かれた画用紙のどこにあてはまるか考えて,仲間わけをした。どこにわけていいかわからないものは,?のところにはるようにした。
「どんぐりはちくちくしたから,手のところにはるよ」と,手のマークの書かれた画用紙にどんぐりの付箋をはる子がいた。一方,「目で見つけたよ」と,目のマークの書かれた画用紙に貼る子もいた。
それぞれ,友達の考えと違うことに戸惑いながらも,自分の考えをしっかりともち,付箋をはることができた。
全体での伝え合いの場面になると,全員の書いた付箋が黒板に貼られ,子供たちは興味深く見つめていた。
「手のところにどんぐりがたくさんあるけど,目のところにもあるよ」とそれぞれの感じ方の違いに気付く子がいた。「?のところに,スイレンがあるけど,なんでかな」と担任が問うと,?のところに,スイレンの絵をはった子が,「スイレンの花がきれいだと心で思ったけど,心がないから,?にしました」と発言した。心で秋を感じたという発言を聞くと,「なるほど」という顔をする子供たちがたくさんいた。
まだなかなか友達の考えに目を向けることは難しいが,このような思考ツール(マトリクス)を使うことで,視覚的に考えの違いに気付くことができた。
☆内容項目(5)「季節の変化と生活」と(6)「自然や物を使った遊び」を組み合わせた単元での実践です。諸感覚を使って体中で秋を感じることができるように、という担任の先生の思いが伝わってきます。単に、秋見つけに行くのではなく、「秋にはどんなおくりものがあるかな」と問いかけ、子供たちの「秋」に対する思いをふくらませてから、校庭に出かけることで豊かな活動になりました。目、鼻、手、耳、?のマークによって五感を意識することができました。「スイレンの花がきれいだと心で思ったけど,心がないから,?にしました」という子供の発言からは、目で見たことを心で感じる自分自身に気付く姿も見てとれます。また、この発言を聞いた友達も秋を感じる心への気付きを深めることができたと思います。今後の遊びや交流会の実践も楽しみにしています。(生活科指導員)
この学習を踏まえ,今後,秋のおくりものを使った遊びや,交流会を行っていく。単元が終わる頃には,成長した自分を感じることのできるようになることを願っている。