えいようたっぷりの土で、げんきなやさいをそだてよう -六ツ美北部小2年-

【単元のねらい】

  • 野菜の生長を楽しみながら、継続的に世話や観察を続けることができるようにする。(関心・意欲・態度)
  • 野菜が元気に育つ方法について、自分なりの考えをもって工夫して世話をすることができるようにする。(思考・表現)
  • 野菜を育てる中で、生き物同士が助け合って生きていることに気付けるようにする。(気付き)

 

【実践の様子】

「これから、生活科で野菜を育てるよ。」

 この一言だけで、子供たちはやる気いっぱい。教室中にうれしそうな顔があふれました。1年生のときに行ったアサガオの栽培が、とても思い出深いものだったのでしょう。そこで、実践を始める前に、アサガオの栽培についてのアンケートを行いました。

 『元気なアサガオを育てるために大切なことは何ですか?』という質問をすると、子供たちの多くは『水やり』と回答し、土の大切さに意識を向けている子供は、ほとんどいないことが分かりました。1年生の時のアサガオ栽培を振り返ると、市販の土を植木鉢に入れただけで、土に対してのはたらき掛けは追肥を行った程度ですから、それもそのはずです。そこで、2年生での野菜栽培では、元気な野菜を育てるために、土にもこだわって栽培活動を行っていくこととしました。

 

 はじめに、子供たちの意識を土に向けることから実践を始めました。そのためにまずは、栽培に使う土を自分で用意することを子供たちに伝え、野菜栽培に適した土についての聞き取りを行わせました。黒い土や柔らかい土などとともに、培養土や堆肥が良いと聞いてきた子供もいました。しかし、『堆肥ってどんなの?』と尋ねても、上手く答えることはできません。

 そこで、それぞれが聞いてきたことをより深めるために、元気な野菜が育つ土を見つける活動を行いました。土をさわったり、匂いを嗅いだりする子供たちに混じって、A男は必死に土を掘っています。何をしているのか尋ねると、「ミミズを探している」と答えました。A男は、家の人からミミズがいる土が良いと、聞いてきていたのです。思いの通りにミミズを見つけたA男は、野菜が元気に育つ土も見つけることができました。

 次の生活科の授業では、それぞれが調べたり見つけたりした元気な野菜が育つ土について、意見を発表させる場を設定しました。予め、異なる場所からもってきた2つの土を用意し、どちらが元気に育つ土かを考えながら、意見を発表させました。教師の用意した土から、自分が見つけた土と同じようにミミズを見つけたA男は、自信をもって「ミミズのいる土が良い」とみんなの前で発表することができました。授業の終末には、野菜名人に登場していただき、堆肥が鶏や牛のフンでできていることを知りました。

 そして、A男の発言とゲストティーチャーの話をもとに、「生き物のフンのある土が、野菜作りに良い」という考えを学級の中でまとめることができました。

 

 今、本学級では、それぞれが見つけてきた土を使って、野菜を栽培しています。ある子は、自分の植木鉢にミミズを入れることにしました。自分の見つけた土で、自分なりに世話を工夫しながら栽培を続ける子供たちは、毎日のように自分の野菜の変化を教えてくれます。

 

●土を自分で用意することを伝え、聞き取りを行わせたり、2つの土を用意して比べさせたりする活動を通して、子供たちが、野菜栽培には土が大切であることを自然に学んでいった様子がよく分ります。

 ミミズを入れようとしたり堆肥について新たに学んだり・・・土作りが「自分事」となった子供たちは、その後の友達との情報交換も、自然に行っていったことでしょう。(生活・総合指導員)