はだなしすてきたんけんたい ~わたしの町 はっけん~ -秦梨小2年-
はだなしすてきたんけんたい ~わたしの町 はっけん~ -秦梨小2年-
【単元のねらい】
- 自分たちが住む秦梨学区を探検し、様々な場所やもの、人に出会いながら、秦梨学区への親しみと愛着を深めることができる。(関心・意欲・態度)
- 手、目、耳、口、鼻、心などの諸感覚を働かせたり、デジタルカメラを利用したりして、秦梨学区のすてきな場所・人・ものについて調べたり、知らせたりすることができる。(思考・表現)
- 自分とのかかわりで見つけてきたものの中から、秦梨の「すてき」ベスト3にふさわしいものを考え、選ぶことができる。(思考・表現)
- 秦梨学区には、すてきなところがたくさんあることに気付くことができる。(気付き)
【実践の様子】
10月初旬、自分たちの町に目を向けさせるために、まず秦梨学区にどんな場所があるのか、子供たちに問いかけると「秦梨学区ってどこまでなの」「あんまり知らない」「家の周りしかわからない」など、今まで住んでいても意外と秦梨学区のことを知らないということに気付きました。
そこで、まずは自分たちが住むそれぞれの町の「すてき」をおすすめし合うことで、お互いの町への興味をもたせることにしました。それぞれのおすすめを発表し合う中で、実際に行ってみたいという気持ちが高まり、「はだなしすてき探検隊」を結成しました。
まず、すてき探検隊となって、実際にすてきな「場所・人・もの」を確かめに行きました。その際には、「町に隠されている“すてき”を見付けよう」と視点を与え、目や耳・手・鼻・口の五感を働かせて調べることにしました。さらに、野菜作りのとき以上に「人」と関わることを大事にするように伝えました。
子供たちが探検で人に目を向けることができるように、探検の計画を立てる際、出会わせたい学区の方々に、あらかじめ探検の意図を伝えたり、どんなことをお話してほしいか事前に打ち合わせをしたりしました。また、実際にお話をする時間を十分に取るようにしました。
はじめに、岩戸町と秦梨町の探検です。事前に上級生から探検するのにおすすめな場所を聞いておきました。また、クラスメイトおすすめの「ひみつ基地」や近所の優しくてすてきな人に出会えるように計画を立てました。実際に探検に出かけてみると、あらかじめ計画していた「場所・人・もの」以外にも、道端にある花や、偶然出会った人からも、秦梨の町の「すてき」をどんどん見付けることができました。乙川では耳を澄まして音を聞き、「ゴーって音がするよ」とつぶやいたり、道端で見つけた花の手触りを確かめて「さらさらしてる」と言ったり、清水弘法の湧き水を飲んで「冷たくておいしかった」と感想を話す姿も見られました。そして、見付けたすてきな「場所・人・もの」を、1人1台渡したデジタルカメラで撮影しました。また、すてきだと感じたことを、「はだなしすてきカード」に書きためていきました。岩戸町、秦梨町の探検活動を通して、秦梨学区にはたくさんの「すてき」があることに気付き、秦梨学区への愛着を深めることができました。
探検後には、見つけた「すてき」について話し合いました。すると「杉田商店の人は忙しいのに、わたしたちの質問に詳しく答えてくれて優しかった」「たけちゃん動物園のAさんはぼくたちのために動物園を作ってくれてすてき」など、秦梨学区に住む人の良さに気付いていきました。その後、子供たちの思考をより深めるために、それぞれの町のベスト3を考えさせました。1つだけ選ぶとなると悩むであろうと思い、「3つならどうか」と問いかけることで「すてき」ベスト3を考える必然性を生み出しました。その結果「どれにしよう」とそれぞれの町の「すてき」ベスト3を真剣に考え、悩む姿が見られました。個人のベスト3を考える場面を設定することで、それぞれの「すてき」を比較したり、選択したりするなど、思考の深まりが見られました。
また、その後、更に学級で選ぶ「すてき」ベスト3を決めることにしました。そこでは、子供から「どうやって決めたらいいのかな」という声が上がりました。そこで、「どうやって決めたらいいと思いますか」と問い返すと、個人のベスト3の順位から判断したり、「すてき」の優劣を考えたりするなど、子供たちなりに考えることができました。決定した岩戸町のベスト3は「1位:ごんさのい(乙川の特にきれいなスポット)、2位:正蔵寺の住職さん、3位:ひみつ基地」秦梨町のベスト3は「1位:いぼあらいの近くの乙川、2位:たけちゃん動物園と動物園の人、3位:杉田商店の店長さんと須佐之男神社、ドーナツ池(クラスの子のお母さんが名付けたおすすめの用水路)」となりました。また、学区の4町のうち、2つを終えたところで、「残りの2つの町についても調べてみたい」との声が上がりました。
今後は、残りの2つの町(須渕町、才栗町)を探検し、「秦梨すてきカード」をまとめた「秦梨すてきアルバム」や「秦梨すてきおすすめポスター」を作っていく予定です。
子供たちと共に楽しみながら探検し、いろいろな「すてき」を発見しながら、「はだなし」の魅力を体感していきたいと思います。
☆子供が選んだ秦梨の「すてき」には、自然や人、地域で大切にしている場所などが挙げられています。どれも、子供が自分とのかかわりで見つけてきたものの中から、自分が大切にしたいと考えたものです。町の「すてき」を見つけるとき、そして、その中からベスト3を選ぶときに、子供は思考を働かせます。「すてきを見つけよう」、「ベスト3を選ぼう」と、呼びかけた教師の出があったからこそ、子供は自分と秦梨の「場所・人・もの」とのかかわりを振り返り、自分にとってどんなもの(人)が重要なのかを考えることができたといえます。また、意図的に「人」に出会えるようにしたことで、子供は地域の人とのつながりに気付くことができました。「人」とのつながりを感じられた子供は、そんな「人」がいる秦梨に愛着を感じます。今後、これらの「すてき」を発信する場があるようです。このように、体験したことを表現する場を設定することは、気付きの質を高める上でたいへん有効な手だてとなります。(生活・総合指導員)