「なかよしひろばで たのしくあそぼう」 -北野小1年-

【気付きの質を高めるための手立て】  

子どもたちが砂場で楽しく活動するために,最小限度の約束と,あらかじめ使える道具を砂場の近くに準備をして,活動を支える仕掛けをする。

  • 禁止事項は最小限にする。
    (約束は,①砂を投げない②石や枝を砂場に残さない③ゆずり合う,の3つのみ。)
  • 砂場の近くに,使える道具を準備しておく。
    (最初は何も言わない。子どもが見つけたら,「使ってもいいよ。」と言う。)

 

 北野小学校の1年生は,1学期に「なつとなかよし」の単元でなかよし広場で砂遊びをしました。なかよしタイムにも,子どもたちは砂場で遊んでいます。今回も,最初は放課の遊び方同様に,手で穴を掘ったり,団子を作ったりしている子どもたち。1人でやっている子もいれば,2,3人でやっている子もいました。「先生,見て見て。」と,作った物を見てほしくて担任を呼び,どの子も砂で遊ぶことを楽しんでいました。

 

 しばらくして,「先生,あれ,使ってもいい?」と,事前に砂場の前に集めておいた仕掛けのスコップやバケツ,じょうろやカップに気付いた子が聞いてきました。「いいよ。」と言うと,「やったー!」と走って取りに行きました。それに気付いた他の子たちも,取り合いになりそうになりながらも,約束の③「ゆずり合う」を守って,道具を使い始めました。気がつくと,もう1人だけで遊ぶ子はいませんでした。数人で道具を使いながら,「もう一回水汲んでくるね。」「ぼくも手伝うよ。」「スコップ貸して。」などと,子ども同士の会話が増えました。大きな山を協力して作っている子。何となく役割分担しながら,水を流して川を作っている子。水と砂の混ぜ具合を色々と試しながら,「ぷるぷるプリン」を作っている子。数人のグループで作っていた物が,自然とつながっていきました。

 一度子どもたちを砂場から出し,自分たちが作り上げた物の全体を見せると,大歓声。「こうするとうまくいった。」「こうしたら失敗した。」という個々の捉えた気付きを発表しました。「みんなの川が合体したから,嬉しかった。」という意見も出て,友達と関わりながら遊ぶことの楽しさや気付きの質を高めることができました。子どもたちは,45分では満足できず,なかよしタイムも続けて砂遊びを楽しみました。たった1時間で,山あり谷あり川ありの,「ディズニーシー」のような素敵な砂場に大変身しました。

 

●最初は1人や2,3人で遊んでいた子どもたちが,先生の仕掛けと約束によって,大きな山づくり,水を流しての川づくり,水と砂を混ぜてのプリンづくりなどの,会話をしながらの協同的な遊びへと変わっていく様子がよく分かります。子どもたちは最後に振り返りながら,協同的な遊びの楽しさや価値にも気付きました。子どもたちは一人一人の満足感と共に,みんなで何かを作り上げる喜びを感じることができたことでしょう。(生活・総合指導員)