「すてき!大すき!矢西の町」 -矢作西小-

【単元のねらい】

  • 矢西の町の様々な場所や人に興味をもち、進んで調べようとする。(生活への関心・意欲・態度)
  • 探検で見つけたことや感じたこと、考えたことを地域の人や友達に分かりやすく工夫してつたえることができるようにする。(活動や体験についての思考・表現)
  • 探検や振り返り活動、矢西っ子フェスティバルでの発表を通して、矢西の町のよさや人々の思い、自分とのかかわりに気づき、愛着のある人や場所が増えたことに気付くことができるようにする。(身近な環境や自分についての気づき)

 

【実践の様子】

 町探検は、町の様々な場所や自然、施設を知り、そこで生活する人や働いている人に気付く大切な活動であると考えます。本単元の導入では、自分と地域とのかかわりを意識し、子どもたち一人一人が興味を持っている公園などの遊び場を取り上げ、町探検への意欲を高めることにしました。

 

 学区の公園の中でも、全員が知っていてなじみがあるのが、宇頭公園です。宇頭公園は学区で一番大きな公園であり、1年生の生活科でも何度も訪れていて、子どもたちが大好きな場所であるため、はじめの探検場所に設定しました。宇頭公園へもう一度みんなで行き、遊んでみて、気付いたことを発表し合いました。「黄色の滑り台が一番スピードが速くておもしろいです」など、好きな遊具についての意見がでると「そうそう」「次に速いのは赤だよ」と同じような思いを持っている子の声が上がりました。また、ターザンロープについて「一人で走って乗ってると疲れるけど楽しい」と感じている子もいれば「友達が持って引っ張っておもしろくする」と感じている子もいて、同じ遊具でもそれぞれの思いを持っていることが分かりました。

 

 宇頭公園の探検の後、北町に住むA児が「北町の公園には行かないの?」とつぶやきました。北町に住む子どもたちにとってはなじみのある公園ですが、北町以外の子にとってはよく知らないところです。でも「行ってみたいな」という声があがったので、出かけることになりました。

 

 北町には2つの公園があり、どちらも実は古墳で、山のようになっています。宇頭公園とは違って遊具はほとんどなく、遊ぶものは山と草むらしかないといっても過言ではありません。この公園で子どもたちは遊ぶことができるのでしょうか。実際に公園についてみると、子どもたちは山に登って、大喜びでした。荒子公園の頂上からは、岡崎の北の方まで見ることができ「ぼくのお母さんの仕事場があるよ」と言っている子、「ここは風が通って気持ちがいい」と言っている子がいました。2つしかないブランコも喜んで乗っていました。「こんなに高くこげるよ」と自慢している子もいました。子どもたちは、この公園でも思う存分遊ぶことができました。

 

 帰ってきて、北町の公園のお気に入りを発表し合い、そのよさに気付くことをねらいとした授業をしました。大塚公園では、「バッタや虫をつかまえることができるよ」「黄色の花を摘むことができる」「グラウンドが広いからこおりおにができるよ」荒子公園では、「アピタが見えるよ」「急な坂は滑り台みたい」「石の階段はちょっとこわいけどおもしろい」「木の根っこはつかまってわたれるよ」「ブランコは風が気持ちいい」など、公園で気に入ったところや良さが次々と発表されました。

 

 宇頭公園とは全く違った北町の公園へ出かけ、これまで知らなかった学区のよさに気付いた子どもたちは「次は、ぼくのうちの近くの畑に行きたい」と提案していました。これからも、町探検を通して、学区の場所、人に出会い、様々なお気に入りを見つけていき、愛着を深めてほしいと願っています。

 

●遊具がほとんどなく、遊ぶものは山と草むらしかない北町の公園。子どもたちは遊ぶことができるのかと考えていた教師の意に反して、よいところを見つけていった子どもたちの感性。一人一人の子どもの思いを大切にした活動を、教師が展開したことによると思います。さらにそのことが次の活動への意欲を高め、充実した町探検に発展していったことでしょう。(生活・総合指導員)