ときしょう だいすき だいさくせん -常磐小1年-
「ときしょう だいすき だいさくせん」 -常磐小1年-
【単元のねらい】
- 学校の施設や先生,友達に関心をもち,進んで探検したり親しもうとしたりする。(関心・意欲・態度)
- 探検して見つけたことや分かったことを,自分なりの方法で表現し,身近な人に伝えることができる。(思考・表現)
- 探検を通して校内の場所やそこにある物,従事する人について知ることができた自分自身の成長に気付くことができる。(気付き)
【実践の様子】
入学して2か月近く過ぎ,子どもたちの活動の幅は広がってきました。学習面においては,ひらがなの読み書きや10までの数の概念など,基本となる部分を学び,学習用具の扱い方,返事の仕方,聞く態度,話す態度といった学習規律も繰り返し練習して習得しようとしているところです。比較的読み書きのできる子,文字の拾い読みの子,思ったことをすぐに口に出してしまう子,小さな声で話すのが精一杯の子,周囲の様子を伺っていてなかなか活動に参加できない子など、子どもたちの様子は様々です。コミュニケーションを行う力といろいろな活動に進んで参加する態度を養うことで心身ともに成長できると期待して実践しました。
大単元「みんな なかよし」の中の小単元「わたしのがっこう どんなところ」に重点を置いて取り組みました。学校探検「わくわくがっこうたんけんツアー」の意欲を高めるための導入として同級生や他学年と自己紹介をしたり名刺交換をしたりして,校内に友達を増やしたり,顔写真入りの用紙を持って校内を歩き「先生のサイン集め」をしたりしました。さらに2年生との交流会では,学校案内をしてもらうことで,校内の様子が一通り分かるようになり,この後の「わくわくがっこうたんけんツアー」に意欲的に取り組めるようになりました。
活動の第1段階では,担任先導で学校探検に行きました。探検前には「たんけんソング」を歌い,その日に探検する場所を替え歌にして歌いました。探検地図(校内配置図)を持ち,首からは紙製のデジタルカメラをぶら下げて学校探検に出かけました。地図を見ながら歩き,カメラを持ってたくさんの写真を撮ったつもりになることで,ただ見て歩くだけの探検よりも印象に残るようになりました。「フォルダがいっぱいだよ」という声が上がり意欲的に活動できました。また,子どもたちから「アサガオの観察にももっていきたい」と声が上がり,カメラを通してアサガオの生長を見たことで,変化したところに着目して観察カードをかくことができました。探検は「〇〇ツアー」と称し,数日かけて各階ごとに行い,見つけたものや思っ たことを階ごとに紙の色を変えた「はっけんカード」に記録したり,自分が見つけたことを教え合う時間を保障して情報交換をしたりしました。子どもたちの記録カードには,五感をつかって記録されており,図工室や和室の匂いが違っていたことや,音楽室にある楽器に触れたときの音を言葉で表現できていました。また,配膳室や職員室では,そこで働いている人に質問したり,教えてもらったりして,人と関わりながら探検することができました。
第2段階では,自分のお気に入りの場所をもう一度探検したり,お気に入りをクイズにして発表したりしました。お気に入りの場所で先生や上級生と話ができ,授業の様子を見せてもらったりしたことで,子どもたち一人一人の伝えたいことがはっきりしました。クイズを作る際には,個々の能力に合わせて「〇〇〇がありました。」「〇〇〇が(はをに)△△△。」などの話型カードを用意しました。お気に入りクイズを楽しんで行い,伝えたり,答えたりして友達とかかわる楽しさも味わうことができました。クイズ大会では,「ききかためいじん,はなしかためいじん」のルールを意識して取り組むことができたので,答えが分かっても最後まで問題を聞いてから挙手したり,マイクを前にして話したことで大きな声で発表できたりしました。
第3段階では,クイズ大会で「自分のお気に入りをもう一度確かめたい」「友達のお気に入りを見てみたい」という気持ちをもてたので,振り返りの探検を行いました。振り返りをしたことで,友達との共感,認め合う姿が見られました。さらに,伝えることの楽しさを感じて,2年生の子にもクイズを発表しました。
今回の実践で,子どもたちは,学校の施設・設備や人に興味関心をもって意欲的に学校探検をすることができました。また,言葉や絵などを使って伝え合う,聞き合う楽しさを存分に味わうことができました。
☆「紙製の携帯カメラ」というアイディアがいいですね。低学年の発達特性を生かしているところがすばらしいと思います。例えば、「アサガオの声」が聴ける「アサガオマシン」(紙製の冠)も発達特性を生かしたアイテムです。常磐小学校の実践では、手作りのカメラで撮影することによって、ただ見るだけの探検よりも、しっかり見ることができると分かりました。全体を見ていただけでは気付かないところへフォーカスできたからでしょう。また、クイズ大会をすることで、気付きを振り返ることができます。楽しい探検活動の中で、確かな気付きになる手だてが盛り込まれていますね。(生活・総合指導員)