学区のよさを見つけて,宮崎ふるさとカルタを作ろう -宮崎小2年-

【単元のねらい】

  • 自分たちが住む町を探検し、様々な場所やもの、人に出会いながら、町への親しみや愛着を深めようとする。(関心・意欲・態度)
  • 調べてきたことを表現し、そこから考えたことや思ったことを加えて、友達や身近な人に知らせることができる。(思考・表現)
  • 自分たちの生活は、地域で生活したり働いたりしている人々や様々な場所とのかかわりをもっていることに気付くことができる。(気付き)

 

【実践の様子】

 本校には千万町のよさが詰まった「千万町カルタ」があり、宮崎・大雨河地区のカルタはありません。そこから子供たちは、この二地区のカルタも作りたいという思いをもちました。さらには、まだ学区のことを知らない1年生に教えてあげたいという思いから、1年生のためにもカルタを作ることになりました。しかし、カルタを作るには、学区のよさを知らないとできません。子供たちに、宮崎・大雨河のいいものを尋ねると、宮崎茶、鳥、柚子、自然薯などが挙がりましたが、まだまだ札にできるだけの情報が足りませんでした。子供たちは、自分たちが学区のことをよく知らないということに気付き、カルタにしたい学区のよさを探すために、学区探検へ出かけました。

 

 探検は大きく三方面。自然豊かな宮崎地区東方面。お店や公共施設が集まる宮崎地区西方面。そして大雨河地区。 

 東方面では、町探検をする中で、宮崎茶、鳥、柚子、自然薯の他にも、公民館や元気な地域のお年寄りがよさであると発見することができました。

 西方面の探検では、診療所、駐在所、カフェジーバ、梅金(こんにゃく屋)など、みんなの生活に役立っている場所が多くあることに気付きました。

 

 西方面はお店や公共施設が集まっているため、もっと詳しく知りたい場所を絞り、再度探検へ出かけました。

 カフェジーバでは、おじいちゃんやおばあちゃんがモーニングを楽しんでおり、とてもにぎやか。お客さんにもインタビューすると、「週に3~4回は来てるよ」という常連さんも。お客さんとのかかわりからも、ジーバが地域の人の憩いの場になっていることを感じました。

 梅金では、こんにゃくの袋詰め作業を見せていただいたり、おいしいこんにゃくをごちそうになったりしました。「ぷるぷるだ!」「八丁味噌とよくあう!」と口々に言う姿から、梅金こんにゃくの魅力を堪能することができました。

 その後、JA、駐在所、山口モータース、しらい製材へも再度探検に出かけました。探検後の子供たちは、「みんな優しい」「宮崎はいい人ばっかり」「みんなが生活できるように大切なんだ」と感想を話し、地域の人たちとのかかわりを通して、学区のよさを知ることができました。さらに、普段当たり前のように行っている場所ですが、私たちの生活に欠かすことのできない大切な場所だということが分かりました。

 

 大雨河地区の探険には、全校で出かけました。高学年や講師の方がそのよさについて教えてくれました。特に子供たちの心に残っていたことは、天使の森の頂上から見る景色でした。山から海が見えることに、「わあ!きれい!」という歓声が上がりました。「こんな素敵な場所がみやざきにあったなんて知らなかった」と言う子が多く、また新たに学区のよさを知ることができました。

 他にも、お方送りや雨山合戦、山本源吉翁、みつわ広場,猟について教えてもらいました。振り返りで、初めて知ったことを伝え合うと、黒板に書ききれないほどたくさんの思いが溢れていました。

 

 その後、探険して見つけたものから、カルタにしたいものを選び、クラスで読み札を考えました。そのもののよさが表れるように、誰に何を伝えるのかを明確にし、5つの観点(いつ、どこで、どうして、どんな、何・人)を提示して進めていきました。

 梅金の読み札は「梅金さん ぷるぷるこんにゃく おいしいよ」、ジーバは「ごはんがおいしいジーバ じいちゃん ばあちゃん リラックス」というように、探検で実際にかかわり合ったからこそ出てくる言葉が多く使われていました。

 その後、絵札と読み札をかき、仕上がったものを1年生に楽しんでもらいました。1年生が楽しそうカルタをする様子や、「これはおまわりさんの札だ!」「お茶のカルタだ!」と話す姿から、2年生の子供たちは、笑顔を浮かべていました。カルタを終えると子供たちからは「わかってもらえてよかった」「大変だったけど、作ってよかった」とつぶやきが聞こえました。

 カルタ作りを目標に、子供たちは探検で積極的に質問をしたり、地域の人とかかわり合ったりする姿が見られました。学区の「人・もの・こと」とふれあう中で、対象物のよさを感じとり、交流を通して学区のよさを広げていくことで、ふるさとへの愛着を深めることができました。

☆宮崎小学校だからこそできた実践です。千万町カルタに目をつけ、このカルタを見せたら、子供は「他の地区のカルタも作りたい」という願いをもつだろうと考えた教師の目の付け所がすばらしい!このカルタのおかげで、単元を貫く「学区のよさを伝えるカルタを作ろう」という課題ができました。この課題ができた時点で、子供の「主体的」な学びが確約されました。探検を通して地域の人や友達と「対話」し、その中で子供はいろいろ考えました。そして、学区のよさを伝えるカルタにするために、何を紹介するのかを話し合う中で気付きの質を高めていきました。これが「深い学び」です。まさに、「主体的・対話的で深い学び」ができたといえます。このカルタは宮崎小学校、そして、2年生の子供たちの宝物になりますね。(生活・総合指導員)