「2くみのわくわくむしらんどをつくろう」 六ツ美中部小学校 1年生

[単元のねらい]

  • 身近にいる虫などの生き物に関心を持ち、虫とのかかわりや成長を楽しみにしながら積極的に世話をすることができる。(関心・意欲・態度)
  • 虫がいそうな場所を考えて採集したり、世話の仕方を工夫したりすることができる。(思考・表現)
  • 虫が生息している環境に合わせて世話をする大切さに気付いたり、友達の世話の仕方の工夫に気付いたりすることができる。(気付き)

 

[実践の様子]

 本校は、田んぼや畑に囲まれ、自然豊かな学区である。1学期に行った本学級のアンケートでは、「虫などの生き物はすきですか?」という問いに対し、25名中19名が「すき」と答えているが、その中にも、実際に虫を飼ったことはない子や、セミやカエルを手で捕まえられない子が何人かいた。また、2学期に入り、初めの導入部分で、「学校にはどんな生き物がいるかな?」と問うと、「うさぎ」「こい」「ざりがに」など、学校で飼われているものや誰かが池に入れたものを答える児童ばかりであった。学校に自然があるからこそ、生息しているたくさんの虫に気付いてほしい、また虫と親しくなる中で、虫には自然が必要だからこそ大切にしようという気持ちが持てるようになってほしい、そんな願いを持って本単元の実践を行った。

 導入では、夏の終わりに学校中で集めた大量のセミの抜け殻を子どもたちに見せた。子どもたちは、驚いて興奮し、「学校ってこんなにたくさん虫がいるのかな?」と、次時からの虫とりに期待を持つことができた。その後は、虫とりの時間を十分にとった。1回・2回では、とるポイント、とり方も曖昧で、ただ外遊びをして終わってしまう子もいた。2回行った時点で、一度教室に戻って、「どんな虫がいた?」「どんなところにいた?」「どうやると上手に捕まえられた?」と聞き、全体で虫をとるコツを話し合った。その後、徐々に回数を重ねると、子どもたちの虫とりの仕方も変わってきた。休み時間も惜しまず虫とりをする姿が見られた。この時点では、まだ虫が苦手な子もいたが、「友達に捕まえてもらった。」「一緒に捕まえて、少し触ることができた。」という子も増えてきた。

 虫とりをしっかりし、親しみが持てるようになってきた時点で、今度は虫の飼い方について考える場面を設定した。この時点では、虫かごにそのまま虫だけ入っている子がほとんどであった。そこで、教師が飼っているカマキリを悪条件の虫のすみかにし、どうすれば虫が住みやすくなるか全体で考え、すみやすい家の条件を見つけた後で、自分の虫の家を考えられるようにした。「カマキリなのに、水が入っていてかわいそう。」という意見に対し、「そうなのか、じゃあ何を入れたらいい?」と問うと、「くさを入れてあげる。」と返ってきた。そこで、さらに自分の思考に気付いたり、他の子どもたちがどの虫にとっても共通に大切なことに気付いたりできるよう、「どうしてそう思ったの?」と問い返した。そこから、「くさのあるところに住んでいた。」という意見が出てきて、家を作るには、虫が住んでいたような場所にする必要があることに気付くことができた。その他に、えさを入れないといけない、という意見が出たため、その後自分たちの虫に合わせた虫を考えることができた。

 ここまで来ると、自信を持って「虫が好き。」「上手に飼える。」「お家でも飼ってみよう。」と言える子が増えてきた。最後に、自分の虫のすごいところを見つける活動を取り入れ、周りに紹介すると、「今度はあの虫が飼ってみたいな。」などの意見が出てきた。生活科での活動が終わっても、「家の近くで捕まえた。」と見せてくれる子も多く、それらの虫かごの中には、草や土、えさが入れられた様子が見られ、今回の生活科での子どもたちの成長が感じられた。

 

●自然に囲まれた学区でありながら、ほとんど虫と触れ合った経験のない子どもたちもいる状況から、本実践が考えられています。虫とりの時間を十分にとったり、悪条件のすみかにいるカマキリを見せたりする手立てによって、子どもたちが虫とりに夢中になり、どうすれば自分の虫が住みやすくなるか全体で考えることができるようになっていった様子が分かります。単元の終わりや単元後の様子からも、自然に親しむ子どもたちの様子が感じられる、楽しい実践になりました。(指導員)