「比べて発見!学校の便利や安心」 -緑丘小1年-

気付きの質を高める手立て

  • 「学校探検」に視点を持たせ、繰り返し探検したり、インタビューしたりすることで、 学校の施設の便利さだけでなく、自分たちを見守ってくれている人がいることにも気付かせていく。
  • 発見したことを、「比べながら」話し合うようにさせることで、個々の気付きを学級に広め、高めていく。

 5月初め、2年生主催の「1年生と仲良くなろう会」が行われました。子供たちは多くの人と触れ合う楽しさを味わっただけでなく、2年生が会を上手に進めていくことに驚きをもったり、広い体育館に興味をもったりしました。これが探検のきっかけになりました。

 第1回目の学校探検の目標は、「担任の先生の名前見つけ」でした。校舎内を回り、各クラスの先生の名前を調べながら、出会った先生に自己紹介をし、「サイン」をいただきました。放課を利用して繰り返し探検する中で、子供たちはいろいろな教室を見つけ、そこにいる人と触れ合ってきました。この探検で得た発見を教師が価値付けし、子供たちに広めていくためにも、こまめに話し合ったり、発表し合ったりすることをしました。この活動によって、子供たちは、ますます学校の施設に興味を示し、発見に貪欲になりました。

 

 子供の思いを生かして、2回目の探検の目標を、「特別教室のなぞ調べ」にしました。そして、探検ではなく、「探偵団」というネーミングにして学習を進めることにしたことで、子供たちはさらに意欲的になりました。なぜ特別教室があるのか、どんなときに使うのかに気付かせるために、「『自分たちの教室にはない○○教室らしいもの』を探してこよう」という課題を出しました。すると、「家庭科室の黒板はなぜホワイトボードなのかな。」「理科室には、ホースつきの水道が机についているよ。」など、その教室ならではの便利さにつながる発見をする子がたくさんでてきました。

 

 次に、その発見のなぞを解いていくという新しい課題がでてきたので、いろいろな先生や上級生にインタビューしてなぞを解いていこうということにしました。初めはもじもじしていた子も、徐々に積極的に上級生や先生に声をかけ、質問する姿が見受けられるようになりました。人とかかわったことや、なぞが分かったことがうれしくて一層活動が進んでいきました。そして、活動後の話し合いでは、「特別教室は、子供が勉強をするのにとても便利なものがたくさんある場所」という考えにまとまりました。

 

 こうして活動を重ねるうちに、子供たちは、校長先生をはじめ、担任を持たない先生の存在を知りました。「先生たちはどんな仕事をしているのか」というある子の疑問を、学級全体に反映し「先生たちの仕事調べ」をグループごとにすることにしました。担当する先生の仕事を見学した後、発見や疑問を携えて、直接インタビューをしました。この活動を3回ほど繰り返し、探偵団報告会を行いました。

 「校長先生は、学校のみんなを見守っているよ。」「教頭先生は、地域の人と協力して子供の安全を守っているよ。」どのグループの発表も共通点がありました。発表をもとに比べられるように板書をし、話し合ったことで、どの先生も緑っ子のためにがんばっているという気付きにたどり着きました。

 今回の学校探検で、調べる視点をはっきりさせたことで、学校は自分たちが勉強するのにとって便利な教室もあって、自分たちのことを優しく見守ってくれる人がたくさんいるということに気付いてくれました。

 

●子供の思いを大切にしたこと、教師が講じた手だてが有効でしたね。これらの手立ては、別の単元でも生かせそうです。板書は1年生の子供たちにも分かりやすい、構造的なものですね。(生活・総合指導員)