めざせ!お米作り名人 -三島小2年-
めざせ!お米作り名人 -三島小2年-
【単元のねらい】
- 育てているお米の収穫を楽しみにしながら、進んで世話や観察をしようとしたり、お米作り名人や周りの人々に積極的に関わろうとしたりする。(関心・意欲・態度)
- 稲を枯らす病気や害虫、害鳥や雑草など、稲を栽培しているときに起きる様々な問題について、解決するための方法を調べたり、友達と意見交換することで、おいしいお米を作るための世話を考えたり、工夫したりすることができる。(思考・表現)
- 稲の変化や成長の様子を比べたり例えたりして、伝え方を工夫することができる。(思考・表現)
- 稲の世話をする中で、稲が生命を持っていることや成長していることに気付いたり、毎日世話をすることができた自分の成長に気付いたりすることができる。(気付き)
【実践の様子】
本校には、敷地内に田んぼがあり、毎年2年生がお米作りにチャレンジしている。お米が収穫されると、3学期にお米パーティが開かれ、2年生による手作りおにぎりが1年生に振る舞われる。1年生のときに手作りおにぎりを食べた子供たちは、2年生でのお米作りをとても楽しみにしていた。4月上旬、3年生から稲束を引き継ぐ「お米引き継ぎ式」が行われた。2年生は、やる気満々でお米作りに取り組み始めた。
1学期には、芽だし、もみまき、代かき、田植えを行った。地域のお米作り名人や保護者の方に協力してもらいながら活動に取り組んだ。代かきや田植えでは、泥だらけになりながらも、楽しそうに活動する姿が見られた。学校田には、毎日登校したときに、稲に「おはようございます」とあいさつをしたり、子供が毎日交代で「田んぼ番長」となって田んぼの水の管理をし、稲の様子を見てクラスのみんなに報告したりしてきた。また、学校田だけでなく同時にバケツ稲も育ててきた。
子供たちは、稲のお世話をする中でさまざまな問題点に直面した。スズメやカラスが苗をつつきにやってきたり、田んぼに雑草が生えてきたり、害虫によって稲の葉が食べられたりした。2学期、それらの問題について「緊急会議」を開いた。話し合いをして「田んぼを守る」ための「鳥よけ作り」をすることが決まった。鳥よけが設置され、引き続き稲のお世話を続けた。いよいよ収穫の時期になり、稲刈りをし、脱穀を行った。子供たちは、地域のお米作り名人にやり方を教えてもらったり保護者の方に協力してもらったりしながら活動に取り組んだ。
自分たちが育ててきた大切なお米、これを使ってこれからどんなことをしたいか、話し合う活動を行った。初めに田んぼでとれたお米の量を実際に量って確かめた。グループごとに籾の入ったビニール袋、おにぎり1個分の籾が計量できるカップ、記録用紙が配られた。子供たちは、声を揃えて「いーち、にーい…」とカップいくつ分か数えた。量る活動の中で、「100杯くらいかな…」「20杯いかなそうだな…」というつぶやきがあちこちから聞こえてきた。グループごとに結果を発表し、学級全体では、「164個分」という結果になった。つまり学級でとれたお米の量はおにぎり164個分だ。そして、これらのお米でどんなことをしたいか、話し合いを進めた。
- 家族にあげたい。理由は、僕たちのためにいろいろやってくれるから。
- 学校のみんなにあげたい。→・みんな分はないよ。1口分ならできる。
- 6年生にあげたい。理由は、いろんなことを教えてくれたから。(複数名)
- 教頭先生と校長先生にあげたい。残ったら自分たちで食べたい。
- 初めは自分たちで食べて、美味しかったら6年生にあげる。
- 家に持ち帰ってお米を節約する。
ここで、教師が、教室の背面掲示を指して、お米作りの様子を振り返るよう促し、再び意見を交換をした。
- バケツ稲は、家に持ち帰る。田んぼの稲は、1年生にあげる。
- 名人にあげる。がんばったことを名人に思い出させてあげたいから。
- お米レストランをひらく。→面白そう。いいかも。
- 三島小以外の人にもあげる。→足りるかな。
教師が「お米レストラン気になっている人?」と聞くと、多くが挙手した。そして、改めて「おにぎり164個分」という数字に目を向けさせた。「全員に食べさせてあげられるかな。」と教師が問うと、誰に一番食べてもらいたいかという視点で話し合いが進んだ。
- 名人
- お父さん、お母さん
- バケツ稲は家族。田んぼの方は、お米レストランにしてみんなに。
- みんなに食べてもらいたい。お寿司1個分で計算したら656個できると思う。(おにぎり1個分を4つに分けて、164×4の計算をしたと考えられる)
本時の最後のまとめでは、話し合いをして、今考えていることをカードに整理した。
実際にとれたお米の量を計量して「164個分」という具体的な数字を出したり、これまでのお米作りを背面掲示で振り返ったりすることによって、お米をどのようにしていきたいか自分の思いを話したり友達の意見に耳を傾けたりすることができた。また、活用方法の優先順位をつけるという視点をもてるようにしたことで、思考を働かせて話し合いに参加する様子が見取れた。今後も体験したことや調べたことをもとに自分の考えを深めたり、友達と共に考えを深めたりできることを期待している。
☆栽培活動では、様々な問題が起きます。子供が大切に育てていれば、こうした問題は自分事になります。本実践では、地域の方との協同的な活動や「田んぼ番長」、一人一鉢の「バケツ稲」など、イネを継続して大切にお世話できる環境を整えています。だからこそ、鳥の問題、米の用途の問題について、子供たちは真剣に考えています。さらに、お米の用途については、教師がお米の量を量る活動を取り入れ、数値化しています。おにぎりいくつ分という数字が出されたことで、全員が生活経験を基に、具体的に考えることができました。思考を深める有効な手だてとなりましたね。(生活科・総合指導員)