おいしいやさいをそだてよう -福岡小2年-

【単元のねらい】

  • 育てている野菜の収穫を楽しみにしながら世話を続けようとする。(関心・意欲・態度)
  • 野菜がよりよく生長するためには、何が必要か考えて調べ、そして野菜の成長を文章や絵で記録できる。(活動や体験についての思考・表現)
  • 育てている野菜に合った世話の仕方があることに気付くことができる。(気付き)

 

【実践の様子】

 子供たちは、1年生のときに一人一鉢でアサガオを育て、学年園でサツマイモを育てました。水やりを忘れずに行い、花を楽しみ秋には種やイモを収穫する喜びを感じました。その経験を生かして、2年生では自分の育てたい野菜を選び、一人一鉢で育てていくことにしました。野菜作りの経験では、17人の子供たちが畑仕事(水やり・草取り・害虫駆除)を手伝ったことがあると答えました。しかし、反対に11人の子供たちが経験に乏しく苗を植えれば勝手に育ってくれると考えていました。

 育てたい野菜の決め方は、育てやすい野菜を6種類紹介し、その中から一つを自分で選び準備しました。19人の子供たちが自分の好きな野菜を選び、あとの子供たちは、家族の影響で決めました。収穫したらどうするかでは、サラダなどの調理が多く、お弁当に入れたいという考えもありました。苗植えから収穫まで長い期間の世話を続けることが難しいと考え、「野菜をおいしく食べよう」という最終段階を見通すことで意欲的に世話に取り組む子供たちでの姿を期待しました。

 5月連休後に苗を植え、6月中ごろには野菜の成長が進みました。そこで、「野菜を育てていて、心配なこと・分からないことを解決していこう」と話し合いました。

 「心配なことは、何?」で、早速虫の名前があがりました。ナメクジ・クモ・アリ・ケムシ・カメムシ・アブラムシ・小さい虫などが葉にいっぱいついているとのことです。解決方法は、調べてきた子供たちが教えてくれました。

  • ガムテープ作戦…ガムテープで葉の裏にいる小さい虫を捕ります。
  • 牛乳作戦…水に少しの牛乳を混ぜて虫にかけます。虫は匂いが嫌いらしい。

 子供たちは、クモやミミズは害虫ではないと気付き、「クモは虫を食べてくれるね」「ミミズのうんこは、肥料になるよ」とお互いに教え合い、追い払う虫とそうではない虫と区別することができました。ガムテープ作戦は、けっこう効き目があり、週に1回は行い、虫を追い払うことができました。

 「分からないことは、何?」では、「トマトに触ってないのに傷がある」という意見がでました。解決方法は、「トマトは、雨に当たるとさける」ということでした。「でも、太陽に当たらないとおいしいトマトにならないよ」という反対意見もでました。そこで、子供たちの取った作戦は二つあります。

  • 日なた作戦…おいしい実ができるには、太陽によく当てます。水もあげます。だから、日当たりのいいところで野菜を育てます。
  • 木かげ作戦…トマトは雨にぬれるとわれます。だから、雨にぬれないような木の下で野菜を育てます。風通しのよいところを選びます。

 そのあと、さっそく自分なりに考えて、自分の植木鉢を日当たりのよいところに動かしたり、木の陰のところに動かしたりしました。さて、どっちがおいしい実ができるのでしょうか。

 

 Aさんは、話を聞いてないことがあり内容がずれていることがあります。ここでは、虫がよって来ない方法をきちんと調べて発表することができました。祖父の畑があるものの、畑仕事のお手伝いはやらず見てるだけでした。しかし、自分の野菜では、苗が倒れそうになれば支柱を立て、葉が枯れそうになれば一生懸命水をやりました。自分の野菜を観察して、友達や家族と関わり自分なりに考え、取り組むことができました。やる気パワーで大変身ですね。

 Bさんは、みんなの前で失敗をして笑われることに抵抗があり、発表は苦手です。選んだ野菜は大嫌いなミニトマトです。「大嫌いだから食べられるようになりたい」という理由で父親と相談して選びました。丁寧な観察をし、「トマトに触ってないのに傷があった」「土が濡れているところと濡れてないところがある」と疑問を持つことができました。ここでの話し合いでは進んで挙手をし、発表もたくさんできました。収穫後の日記には、「ぼくは、ミニトマトのサラダをたべました。ミニトマトはきらいだけど、ちょうせんをしたくてえらびました。はじめはきらいでびびっていたけど、たべてみたら思わず「うまい。」と言ってしまいました。これからもミニトマトがおいしくたべられると思います。」と書いてきました。自分で育てた野菜の味は、最高だね。

 

 今2年1組は、学年園「サツマイモ」の草取りに取り組んでいます。暑いけど「おいしいサツマイモをたべるぞ」を合言葉にがんばっています。秋のサツマイモの収穫が楽しみだね。

 

●畑仕事のお手伝いをしないAさんがやる気パワーで大変身になったのは、手だてが有効だったからだと思います。1つは「野菜をおいしく食べよう」と最終段階を見通せたこと、そしてもう1つは、様々な作戦に自由に挑戦させたことではないでしょうか。Bさんも自分なりに見通しをもち、作戦を経てのミニトマトの味に、思わず「うまい。」と声が出たのでしょう。(生活・総合指導員)