「大きくなあれ!ぼく・わたし」-上地小2年-

【気付きの質を高めるための手だて】

  • 赤ちゃんの様子を実感するために、もく浴人形をだっこしたり、持参した衣類を着せたりするという体験を仕組む。
  • 自分の気付きを自覚し、気付きの質を高めるために、共通体験をもとに考えを交換する場を設定する。

 

【実践の様子】

 上地小学校の2年生は、3学期に入ってから、今の自分のよいところやできるようになったことを振り返る学習を始めました。まず、図工で等身大の自分人形を作り、そこに入学してからできるようになったことを書いた紙をはりました。その中で、学習や運動などの知識や技能が身に付いたこと、我慢や人に優しくできるようになったことなど、たくさんのことができるようになったことに気付くことができました。また、お互いのがんばったことをカードに書き、交換することで、自分では気付かなかったことに気付いたり、友達から評価されることで自信を持ったりすることができました。このように今の自分を肯定的にとらえた上で、赤ちゃんの頃の自分について学習しました。

 子供たちは赤ちゃん当てクイズや家族から聞いた話から、赤ちゃんの頃の様子に興味を持ち、調べを進めました。今回はもく浴人形をだっこし、自分が赤ちゃんの時に身に付けていた衣服を着せることにしました。

 もく浴人形を見た子どもたちは目を輝かせ、我先にとだっこをしていました。はじめはぎこちない抱き方をしていた子どもたちも、小さい弟や妹のいる子の抱き方を真似るなどして、徐々に上手に抱けるようになっていきました。また、「重い。頭がぐらぐらする」とつぶやいたり、「首のところを持つといいよ」と教えあったりしながらだっこをし、赤ちゃんの重さを実感していました。その後、自分の赤ちゃんのときの服や靴下を着せたり、オムツを替えたり、おもちゃであやしたりしてお世話を楽しみました。

 

 もく浴人形のお世話をした後、感じたことを尋ねると、「重い」「すごく重い」という発言が続きました。「自分もそうだったのかな」と発言した子がいたことから、今まで調べてきた自分の赤ちゃんの時のことも発表することになりました。子どもたちは、はいはいをしていたことやおしり歩き、つかみ立ちなど、みんなが共通して経験してきたこと、ぬいぐるみやオルゴールなどのお気に入りのものがあったことなどを発表しました。

 さらに、「お父さんがご飯を食べさせてくれた」という発言を皮切りに、「お母さんのおなかの上でしかねない子だった」「お兄ちゃんにかわいがってもらっていた」など、家族との関わりについての発言が続きました。子どもたちは、みんな共通して赤ちゃんのときがあったことや、家の人や周りの人から大切にされていることに気付くことができました。一人調べのワークシートには書いていませんでしたが、「春日井に住んでいるおじいちゃんが私の描いた絵をずっと飾っていてくれた」と発言し、家族以外の人からも大切にされていたことに気付くことができた子もいました。

 今後は成長過程に従って、1~3歳の頃、幼稚園や保育園の頃のことを知っていきます。このように自分の成長を振り返る中で、成長を支えてくれた家の人、親戚、近所の人、先生など、様々な人の存在に気付き、感謝の気持ちを持てるようにしていきます。多くの人に愛され、支えられた自分の成長を実感することで、3年生になっても前向きに生活していってほしいと願っています。

 

●もく浴人形をだっこさせたり、自分が赤ちゃんのときに身につけていた衣服を着せたりすることにより、自分が赤ちゃんのときの家族の気持ちに近づき、家の人や周りの人から大切にされていることに気付くための、よいきっかけとなりました。等身大の自分人形作りや頑張ったことのカード交換によって、自分を肯定的にとらえさせたり、赤ちゃん当てクイズなどで赤ちゃんの頃の様子に興味を持たせたりした手立ても、とても有効です。(生活・総合 指導員)