体験を振り返り「あさがおのたねのプレゼントにつける手紙をかこう」 -恵田小1年-

【単元のねらい】

  • アサガオやラッカセイの変化や成長の様子に関心をもち、進んで世話をしたり観察したりする。(関心・意欲・態度)
  • アサガオやラッカセイの世話を工夫したり、世話の仕方を振り返ったりして、変化や成長の様子を絵や言葉で表現することができる。(思考・表現)
  • アサガオやラッカセイは成長していること、生命をもっていることに気付くことができる。(気付き)

 

【実践の様子】 恵田小学校の1年生は、1学期から2つの植物を育て、世話や観察を続けてきています。一つは、一人一鉢のアサガオ、もう一つは学級園のラッカセイです。アサガオは観察して一人一人が記録をとり、落花生は変化や気付いたこと、発見したことをみんなに伝え、掲示を用いて記録しています。

 アサガオは5月に種まきをし、世話を続けてきました。恵田小1年生のアサガオの鉢は教室のすぐ横にあり、友達と自慢し合ったり友達のアサガオの生育を心配したりしながら毎日観察や世話をすることができました。夏休み中は家庭で継続して世話を行いました。休みの後半にはどの子も種ができ始め、家族で水やりをしながら種とりを楽しみにした子も多くいました。新学期になり、採れた種は教室の後ろにある入れ物の中に入れていくようにしたところ、どの子の入れ物の中にも黒い種がたくさん集まってきました。

 そこで出てきたのが「アサガオのたねはどうしようか」という課題です。夏休み中、家の人とともに世話をしてきたアサガオ。アイデアが広がるように、種をどうするか家の人とも話をしてくることにしました。

 

 家の人との相談を経て、子供たちからは「来年家でもう一回育てたい」「種をならべて形作りがしたい」「次の1年生にプレゼントしたい」という声があがりました。4月下旬の「なかよし会」で、2年生の子にアサガオの種をプレゼントしてもらったうれしい体験からも「自分たちもプレゼントしたい」という気持ちが出てきました。

 種をプレゼントする袋に手紙をつけることになり、どんなことを書いたらよいのかをみんなで考える中で、ある男の子から「大切に育ててきたよ」というつぶやきが出ました。そこで、「大切に育てるためにどんなことをしたかな」という教師の問いかけとともに、アサガ オの成長の様子の絵を並び替えるクイズをしました。その中で、子供たちは、自分たちがしてきたアサガオの世話を思い出すことができました。

 葉が増えたアサガオの絵を見て「アサガオにとくべつなごはんをあげたよ」と肥料をあげたことを思い出した子、「水をあげないと葉っぱが下を向いちゃうよ」「ツルが伸びたら支柱をたてた」など体験から考えた子などいろいろいました。世話を思い出し、振り返ったことで、「手紙で世話のしかたを教えてあげたい」という思いが高まってきたようでした。さらに、自分たちが楽しかったことも思い出し、「楽しみにしてほしいことをおしえてあげたい」という視点も出てきました。「ハートみたいな葉っぱと犬みたいな葉っぱが出ておもしろいよ」「つるがぐんぐんのびるよ」「花がたくさん咲くと色水が作れるよ」「たたきぞめもしたね」など、一人一人が楽しかった思い出を出し合いました。

 今まで世話をしてきたことを振り返る時間をとり、思い出す活動を取り入れたことにより、その後書いた手紙にはその子なりの思いや次の1年生に伝えたい内容が表われていました。

 さて、学級園のラッカセイにも実がなり、収穫の日が近づいてきています。ラッカセイの種は食べることができます。アサガオの種は食べることはできませんが、今回の手紙とともにプレゼントすることで来年の1年生につなぐことができます。今後は2つの植物の栽培を振り返ることで、子供たちがそれぞれの「種」の価値に気付く授業をすすめていけたらと考えています。


☆「振り返り」をすることは、無自覚な気付きを自覚化させたり、バラバラな一つ一つの気付きを関連付けたりするのにたいへん有効です。しかし、ここで気を付けたいのは、「さあ、振り返りをします」「振り返りましょう」などと、教師の都合で振り返らせてはいないかということです。生活科は、子供の思いや願いを大切にした単元構成をします。したがって、子供の思いや願いが実現する過程で振り返りをできるようにしていきます。本実践では、「アサガオの種をプレゼントしたい」「種に手紙をつけたい」という子供の思いを育み、「手紙を書く」という活動の中で、「振り返り」をすることができるようにしています。これは、ぜひとも見習いたい技ですね。