諸感覚を使った発見をして、「あきはかせ」になろう -岡崎小1年-

【単元のねらい】

  • 諸感覚を使って秋を見付けたり、遊んだりしながら秋の自然を親しむことができる。(関心・意欲・態度)
  • 身近な自然を使って、季節に合った遊びを考えたり、作ってみたいものを見付けたりすることができる。(思考・表現)
  • 生活や身近な自然から秋を見付け、興味を持ったことや不思議に思ったことについて調べ、わかったことを発表し合う活動を通して、身近な自然の移り変わりに気付くことができる。(気付き)

【実践の様子】

 9月の下旬から、校内や学区の公園へ秋見付けのための探検に出かけました。しかし、「秋ってよく聞くけれど、何を見付けたら秋なんだろう」という疑問が子どもたちの中に湧いたようなので、まずは「秋」とは何かを考えました。今までの季節と比べて、数が増えたものや、様子が変わったものが秋なんじゃないか、という意見が出ました。

 もう一度、秋のものを探しに出かけると、地面にたくさん落ちていた木の実や、とてもよい匂いのする木を見付ける子がいました。「秋にたくさん見ることができる木の実、種、花、虫、葉っぱについて、もっともっと詳しくなりたい。」という思いが子どもたちの中に生まれました。

 

 一人で全部調べるのはたいへんだから、木の実、種、花、虫、葉っぱの中から1つ選んで、「あきはかせ」になろうと決めました。「あきはかせ」は、「①あきのことをとても詳しく知っている②みんなに教えてあげる③とても優しい」人のことです。

 見付けたものをまとめるために、「あきはかせのはっけんカード」を作りました。同時期に行っていた国語科の「わたしのはっけん」の実践と合科し、身体の諸感覚を使って気付いたことを、カードに書きました。校内にある岡小の森や、学区の公園に何度も足を運び、見付けてきたものを宝箱に入れたり、はっけんカードに貼ったりしました。

 「秋の事物を見付ける→はっけんカードを書く→わからないことを図鑑やインターネットを使って調べる」、この活動を繰り返し行い、秋と親しむ機会を多く設けました。

 はっけんカードは、背面掲示としてクリップで留めて飾り、いつでも見返せるようにしました。同じことを調べている博士と交流する時間を作り、宝箱やはっけんカードを見せながら話し合うことで、自分一人では解決できない疑問や悩みを解決することができました。

 

背面掲示「はっけんカード」   博士同士の交流 

 

 

 11月下旬に、活動のまとめとして、「あきはかせのはっぴょうかい」をしました。秋の種はかせは「種袋」、葉っぱ博士は「葉っぱ図鑑」、木の実博士は「秋箱」などなど、さまざまな方法で、自分が見付けた秋をまとめ、友達に紹介することができました。どの子もみんな、秋にどっぷりと浸かり、親しみながら活動をすることができました。なりたかった「あきはかせ」に、29名全員がなることができました。

   
木の実博士の「どんぐり秋箱」 葉っぱ博士の「秋の葉っぱ図鑑」

 
葉っぱ博士の新聞


☆「秋ってよく聞くけど、何を見付けたらいいんだろう」という子供の反応が、今の子供たちの実態をよく表しています。最近、「季節」を感じる子は少なくなっているのではないでしょうか。家の中では、エアコンによって年中快適に過ごしている子がいるかもしれません。家に帰ってから友達の家に遊びに行くのも、不審者対策のため車で送り迎え。遊びも家の中でゲーム…こんな生活の中で、季節の変化を感じるのは難しいでしょう。だからこそ、生活科で身体全体を使って季節の変化を感じる体験が必要なのです。このつぶやきを見取り、「春や夏と比べる」視点を設けて「秋」とは何か考え、繰り返し身近な自然とかかわったところがいいですね。また、子供たちといっしょに「あきはかせになろう」という目標を決めて活動をしたこと、国語科と合科的に取り組んだことなど、子供の意欲を高め、充実した学びへとつなげたところが参考になりますね。