ぐんぐんそだて!夏やさいを大切にそだてよう!!

【単元のねらい】

  • 野菜の成長や、その変化、生命の尊さや育て方などに関心をもち、愛情をもって世話をしようとする。(関心・意欲・態度)
  • 自分が育てている野菜の変化について考え、絵や文などに表現することができる。(思考・表現)
  • 世話をする野菜の成長や、その変化を通して、植物の世話の仕方に気付くことができる。(気付き)

 

【実践の様子】

 子供たちは、1年生の時に、一人一鉢でアサガオを育てました。毎日欠かさず水やりを行い、アサガオの花が咲く喜びを味わうことができました。

 2年生に進級し、生活科の時間に「一人一鉢、夏野菜を育てるよ」と子供たちに伝えると、嬉しそうな子供たちの表情が教室に溢れました。野菜作りの経験の有無を聞いてみると、10人の子供が水やりや、草取りをしたことがあると答えました。しかし、反対に、22人の子供たちは経験がなく、アサガオと同様に植えて水さえあげれば、すくすく成長すると考えていました。

 

 子供たちが、育てたい野菜を決めるために、地域の野菜作りの名人を招き、夏野菜についての話をしていただきました。その中で、比較的育てやすい5種類の野菜を紹介していただきました。そして、その中から自分が育てたい野菜を選んで、育てることにしました。また、それと同時に、良い苗の選び方も教えていただき、子供たちの夏野菜を育てたいという気持ちはどんどん上がっていきました。5月に苗を植え、栽培活動がスタートしました。毎日欠かさずに水やりをし、野菜はすくすくと成長していきました。

 

 生活科の授業で、「今日は、野菜の世話をするよ。」と子供たちに声をかけると、水やりをしてすぐに教室に帰ってくる子供がほとんどでした。子供たちの多くは、「水やり=世話」だと思っていたようです。そこで、子供たちに「ねぇ、野菜の世話って水をやるだけなのかな?」と聞いてみました。すると、「いや、ちがう。雑草を取ったり、虫を取ったりしないといけない。」という返事が返ってきました。「本当にそれだけで大丈夫?」と聞くと、子供たちは悩んでいるようでした。子供たちは皆、大きくて立派な野菜を育てたいという気持ちをもっています。その思いを拾い上げ、自分ができる世話を経験してほしいと考え、図書資料を使って世話の仕方を調べる時間を設けました。

 図書資料を使って調べる他、お家の人へインタビューもしてみました。地域の野菜名人にも電話をして、分からないことを質問しました。その結果、「わき芽を摘むと、大きく育つ。」「野菜の成長に合わせて、支柱の形を変える。」「トマトは水をあげすぎると甘くなくなる。」ということが分かりました。分かった瞬間、「世話をしに行っていい?」と目を輝かせて子供たちが寄ってきました。自分で調べたことを実践に移すということが、誰かから指示されてやるより、はるかに意欲的に取り組めることが分かりました。その後も、野菜が成長するにつれて、新たな問題が出てきた時に、図書資料を借りてきたり、お家の人へインタビューしたりする姿を見ることができました。「世話=水やり」ではなく、野菜の成長に合わせた世話が大切だと感じることができたようです。

 

 野菜を収穫する時期になりました。子供達がていねいに、世話をした結果、たくさんの野菜を収穫することができました。自分で育てた野菜を手に取ると、笑顔が溢れていました。それだけ、嬉しかったということが分かります。

 

 今、2年生では、大根を育てています。みんなで「おいしい大根を作って、野菜名人にお礼をする」ということを目標に頑張っています。これから、色々と分からないことに出会うでしょう。その時に、すぐに先生に聞くのではなく、図書資料やインタビューを通して解決していく姿を期待しています。

 

☆内容⑦の「動植物の飼育・栽培」については、動物・植物の双方を2学年にわたって継続的に育てることになっています。それだけ「動植物の飼育・栽培」を重視しているということです。細川小学校の実践では、子供たちの「大きくて立派な野菜を育てたい」という思いを大切にしています。これは活動への意欲を高めることにつながります。意欲的に取り組めば、多くの気付きが生まれます。さらに、「本当にそれだけで(そのお世話で)大丈夫?」と揺さぶりをかけて自分のお世話を見直す機会を設けています。これは、野菜の立場に立った見方や考え方へとつながっていきます。教師はつい先回りをして活動を指示してしまいがちですが、そうすると子供たちの考える場を奪ってしまいます。この実践のように、子供たちが自ら調べたり、考えたりしてお世話の仕方を工夫していくことができるといいですね。