4日(水)から始まる球技大会・陸上大会に向けて、選手激励激会が行われました。ユニフォームに身を包んだ常南っ子は、いつもと違ってとてもかっこよく見えました。それは、その外見だけではなく、これまで積み上げてきた努力を身にまとっているからでしょう。ぜひ当日は、これまでの努力に自信をもって、「力いっぱい」戦ってきてほしいと思います。

全校に努力の話をしていたら、ある生徒のことを思い出しました。もうずいぶん前になりますが、中学校で陸上部の顧問をしていた頃のことです。走高跳をやっていた彼は、全国大会を目標にしていました。目標に恥じないくらい一生懸命練習する生徒でした。ただ、当時の走高跳の全国大会の標準記録は182㎝。彼のベスト記録は178㎝と、なかなか難しい状況でした。そんな彼が、全国をかけて最初に挑んだのは、3種競技でした。3種競技とは、走高跳に加え、100m走と砲丸投げの記録をそれぞれポイントにして、その合計ポイントを競う競技です。走高跳と100m走が得意な彼にとっては、走高跳よりも期待の大きい競技でした。迎えた愛知県大会当日、順調にポイントを重ねた彼は、見事優勝を果たしました。しかし、陸上競技は、いくら優勝しても参加標準記録を越えなければ、全国大会に出場することはできません。優勝した彼の記録は、全国大会参加標準記録に1点及びませんでした。県で一番なのに、全国大会には出場できない。ルールとはいえ、何んとも納得できない気分でいる私に、彼は言いました。

「僕の努力が1㎝足りなかったんです」

足りなかった1点は、練習量に不安を感じていた砲丸投げの1㎝に相当しました。中学3年生の彼のこの言葉に、本当の努力を重ねてきた者の精神力の強さを感じました。その後、最後の大会に向けて、走高跳の練習を重ねましたが、ベスト記録は178㎝のままでした。そして、全国大会出場をかけた最後の大会。私は、走高跳のピットで奇跡を見ました。自己ベストを超える182㎝を跳び越える彼の姿です。その瞬間「奇跡」と思ったのは、きっと彼にとって失礼だったのかもしれません。それだけの努力を積み重ね、それだけの精神力を付けてきた彼にとって、それは、当たり前のことだったのかもしれないからです。

「努力は人を裏切らない」と言いますが、努力をしたからと言って、必ずしも良い結果が出るとは限りません。でも、努力しただけ、必ず強くなれます。皆さんの挑戦は始まったばかりです。今回の球技大会・陸上大会の結果も、未来へのステップとなることを期待しています。