アンパンマンは、お腹をすかせたり、困ったりしている人を見ると、自分の顔を分けてあげます。

「大切なのは、強さよりもやさしさ」。いつも相手のために動くヒーローです。

 

アンパンマンの作者、やなせたかしさんは、若いころは仕事がうまくいかず、つらい経験もたくさんありました。

その中で、苦しんでいる人や困っている人にあたたかく手を差し伸べることの大切さを、深く感じるようになったと言われています。

だからこそ、アンパンマンという「やさしさのヒーロー」が生まれたのです。

12月10日は「世界人権デー」、その世界人権デーを最終日とする1週間を「人権週間」といいます。

「人権週間」は、私たち一人一人の権利や自由を大切にすることについて考える大切な期間です。

「世界人権デー」とは、すべての人が大切にされ、幸せに生きていける世界をめざす日です。国籍が違っても、言葉が違っても、障害があってもなくても、お金持ちでもそうでなくても、誰もが同じように大切な命をもっています。

それは教室でも同じです。体の大きさや特徴が違っても、得意なこと、苦手なことが違っても、一人一人が世界にただ一つの大切な存在です。

 

ところが、ときどき人は、違いを理由に人を仲間外れにしたり、笑ったりしてしまうことがあります。無意識のうちに、言葉や態度で相手を傷つけてしまうこともあります。

 

もしアンパンマンだったらどうするでしょうか。

きっと、困っている人を見つけたら、まず声をかけるはずです。

悲しい顔をしている人がいたら、そっと寄り添ってくれるでしょう。

 

やなせたかしさんがアンパンマンに込めた“本当の正義”とは、「お腹をすかせた人を救うこと」。つまり、弱い人や困っている人を助けることです。それは、私たちの毎日の行動にもあてはまります。

 

私たちにできることは、小さくても、たしかにあります。

困っている人に「大丈夫?」と声をかけること。

忘れ物をした友達に、そっと貸してあげること。

自分と違う意見を聞いたときに、「そう考えるんだね」と受け止めること。

そして、見て見ぬふりではなく、「いじめはあってはならない」とはっきり思う心をもつことです。

アンパンマンは、いつも誰かのために動きます。それは特別な力があるからではありません。「誰かを助けたい」という気持ちがあるからです。

その心は、みなさんにも必ずあります。

 

やさしい言葉、やさしい行動は、一人一人の中にある「人権を大切にする力」です。その力が集まれば、差別もいじめもない、みんなが安心して生きられる世界に近づいていきます。

 

私たちにできることは何か。改めて考えましょう。

「相手の立場に立つこと」

「ちがいを認め合うこと」

「弱い人に手を伸ばすこと」

それが、やなせたかしさんが残したメッセージであり、私たちが生きる上で大切にしたい気持ちです。

みなさんのやさしさが、世界を明るく照らす光になりますように。