展開前段(追求の段階)で、話し合いを活性化させるには、どのような工夫があるか。

 展開前段は、資料による話し合いを通して、ねらいとする道徳的価値の自覚を深める段階である。以下に工夫を示す。

(1)  座席隊形の工夫

 コの字形や向かい合わせの形、またグループごとなど、子供同士が考えを深め合える隊形をつくる。

(2)  名前札の活用

 黒板に書かれた考えの中で、自分の考えにいちばん近いところに名札を貼ることで、立場が明確になるとともに、全員が参加することができる。

(3)  学習シート、吹き出しシート

 書かせることで全員が参加できる。自分の考えが明確になり、発言に対する抵抗がやわらぐこともある。机間支援で個別指導ができ、一人一人の考えや変容を把握することもできる。

(4)  役割演技

 資料中の登場人物の役割を演じる。即興的、創造的に演じること、役割交代をすること、演技を観ている子供とともに考えることがポイントとなる。学年の発達段階に応じてお面やペープサートを活用すると、より心情に迫ることができる。

(5)  心情図、心のバロメーター

 迷いや葛藤する主人公の心の中にある気持ちを、円盤などの小道具を使って色で示したりする。子供の迷う気持ちが明確にされる。

(6)  意図的指名

 挙手した子供だけでなく、多様な考えやより高い価値観を引き出し、学級の子供の考えをゆさぶったり高めたりする。学習シートに書かれた考えを机間支援で把握しておきたい。

(7)  共感と称賛

 発言した子供の考えに「なるほど」とうなずいたり、「よく考えたね」「よくがんばったね」と声をかけたりする。安心して考えを話し合える雰囲気を作る。