う ば が み
うば神

 ウバ神さんは,主として蒲野氏の氏神さんで,祭神は,宇賀の御霊であるといわれている。後に天の岩神をお祭りしたともいわれる。また,伝説では,鬼婆をおまつりしたともいわれている。
『うば』という用語から考えてみるに,『うば』は,姥(老女),乳母とあるので,語源から推察すると,産婆さんをおまつりしたという説が確かのようである。祭神が産婆さんという説を裏付けることとして,この地域の人々は,昭和の始めまでは,出産後の後産を,この神社の裏にある汚物場へ捨てていた。また,神社の付近に共同出産小屋が設けられていた。だから,出産時には,産婆の手助けが欠かせないものであったようである。産婆を祭神として祀った由来としては,ある時,この地域を通ると,手や足が血だらけになった君婆に出会い,人を殺したものと思って慌てて逃げ帰ったという。足利幕府の時代から,この地域でも,口減らしのため,盛んに間引きがなされていたようである。もしこのことが事実なら,産婆がその務めをはたしていたのではなかろうかと思われる。この地域の人々は,間引きのため全身血だらけの老婆を見て,鬼婆が出たと思い,相談した結果,この老女をだまし,土に埋めてしまったともいわれている。その後,老女のたたりを恐れ,神として祀ったようである。事実は,大雨で裏山が崩れ,いつもお世話になっていた産婆さんが亡くなってしまったので,感謝の意味で姥神として祀ったようである。

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