小学校中学年~高学年   内容項目 生命尊重

自作資料【六ツ美中部小学校  鈴木 大先生】

 

康太朗が生まれて

おとうさんは「おとうさん」に

おかあさんは「おかあさん」に

なりました。

 

康太朗の「康」は

健康に育ってほしいと願ってつけたものだけど

1番の願いは

康太朗のすがたを見ずになくなった

おかあさんのおかあさん

康子さんの分まで生きてほしいと思ったことです。

 

康太朗が産まれる日のことです。

夜中の12時をすぎたころ

「パパ、はすいしちゃった」と

おかあさんはおとうさんを起こしました。

不安そうなおかあさんをそっと車にねかせて

おとうさんは真夜中の道を

病院へ向かいました。

 

康太朗が産まれるときは

おかあさんのおなかを切って出てきました。

おさんが始まってすぐ

おとうさんは分べん室から出るようにお医者さんに言われました。

康太朗が出てくる様子を

ビデオでとろうと待っていたのだけれど

康太朗のひじがおなかのどこかに引っかかって

出てこられなくなってしまったのです。

急にお医者さんやかんごふさんがいそがしそうに動き回り

手術をしなくてはいけなくなりました。

 

しずかな病院で

おとうさんは待っていることしかできませんでした。

おとうさんは何をしてすごしたか覚えていませんが

すごい長い時間待たされたような感じがしました。

おとうさんはいのりながら

ひたすら待ちました。

しばらくして

その小さな声を聞いたとき

体じゅうのちからが

ぬけてしまいました。

 

康太朗は

とても小さな体で産まれてきました。

でもそれは

おとうさんとおかあさんにとって

大きな大きないのちの

たん生だったのです

 

康太朗

おとうさんを「おとうさん」に

おかあさんを「おかあさん」に

してくれてありがとう