気温もぐっと下がり始め、秋も終わりが見えてきました。

美しい月の変化も見納めの時期が近いです。

 

月は昔から魔力が宿ると言われているなど、特別な存在です。

そこで、本日紹介する本は、中島敦の「山月記」です。

 

舞台は中国の唐。官吏(すごい公務員みたいなもの)になる試験に合格した李徴(りちょう)は大変な自信家だった。

それゆえ、上司の指示に従うことや周りの同僚と仕事をすることを良しとせず、さらなる評価を得るために詩人として名を残すことを目指した。

しかし、そんなに簡単な道ではなく、挫折した。

妻や子供のために再び以前の職に就くが、もちろん職位は低くなり、自らの自信や誇りを抑えつけて生活を送った。

その結果、出張先で耐え切れなくなり、月夜に山の中へと姿をくらましてしまった。

翌年、唯一の友だった袁傪(えんさん)が偶然、人食い虎になった李徴と出会い、その経緯と心境を語る物語です。

 

自信やプライドは大切です。しかし、時として、大きすぎる力は思わぬ結果を招いてしまいます。

皆さんの心の中にあるその「大きな力」はどう向けるべきなのだろうか。

誰のために、どんなときに、なんのために使うのか・・・。

その答えがちょっとだけ見える本であるように私は思います。

ぜひ図書室へ足を運び、月の魔力を物語から感じてみてはどうでしょうか?

 

https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/624_14544.html