研究発表会は、250名の参観者に来校いただきました。パネルでディスカッションでは田村先生、新海さん、岩本先生に内容の濃い話し合いをしていただけました。特に生徒の思考の深まりと変容について、勉強になりました。
次は参観者からの主なご意見・ご感想です。
・友達や先生の話をうなずきながら聞く姿、男女問わずに自分の考えを伝え合う姿や一緒に問題解決に取り組む姿、「すごい」「えー」など、子供が素直に自分の気持ちを表現できる姿など、新香山中学校の子供の学習に向かう姿勢が素敵でした。
・課題に対してしっかりと考え発言していたのが印象的でした。対話を大事にされてきたことを感じました。ただ全員が発言していたわけではないので、どれだけの生徒が自分ごととして考えられているのだろうとも思いました。
・総合と教科の授業として活動が活発であり参考になった。通常の学校ではそこまでの活動は行われていないので、ここに至るまでの活動を知りたかった。
・3年2組の国語(小川教諭):生徒の表情が柔らかくチームでの交流が自然にはかれていて素敵な学級でした。日頃から楽しく充実した授業や学級指導を心掛けてきた成果と察します。終盤の振り返りの記述を各自が丁寧に綴っていたことからも、学ぶ意欲が引き出されていたと感じます。
・3年3組の総合の授業ではかなり意見が白熱していました。他学級での総合はありませんでしたので、他学級でも同じ熱量で取り組めているのかも気になりました。
・1年3組総合(岩瀬教諭):活発に話し合う姿が印象的であった。多様な発言があったが教師が的確に整理し話が本題それた際に引き戻して焦点化したことや意見の強い生徒に引っ張られそうになった際に疑問を投げかける等の教師の出がよかった。
・3年1組保体(佐宗教諭):磯貝さんは自分の演技の動画と友達からの指摘により、手を大きく広げていない自分に気づいた。あいまいなままの自分の演技とチームリーダーの野村さんに演技を見てもらい、途中首をかしげながらもチームで語り合い主体的・協働的に自分の課題に向かう姿が素晴らしかった。これを支える教師の発問や映像提示が効果的であった。
皆様のおかげをもちまして、研究発表会は終了しました。ご参観に感謝もうしあげます。以下のQRコードは9/13以降利用できません。
冊子提供のない市内学校関係者などの方や電子データでの提供を希望される方は、下のQRコードからダウンロードできます。9月11日からダウンロードできます。9月10日まではダミーの電子データが入っていますのでダウンロードを試してください。
参観後のご意見・ご感想をいただきますようお願いします。次のQRコードのFORMSから入力してください。
研究発表会二次案内・参加申し込み(右のPDFを印刷などしてご確認ください)研究発表二次案内
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8月12日(土)までに申し込みをしてください。その後は、研究会当日の9月12日まで申し込みはできますが、紀要・リーフレット等を冊子で提供できないことがありますのでご承知おきください。参加費2000円は当日受付にてお支払いください。
なお市内学校関係者は無料ですが、紀要・リーフレット等は冊子での提供をしません。しかしながら大変有益な冊子ですので、参加申込の際に注文をすることができます。市内学校関係者に限り1000円となります。
〇受付 12:30~13:30
〇全体会 13:30~15:55(研究概要説明等)
〇公開授業 14:10~15:00
〇パネルディスカッション「持続可能な社会のための授業改善」15:20~16:10
(1)参加者 パネラー:田村 学 様(國學院大學教授)、新海 洋子 様(SDGsコミュニティ代表理事)岩本 麿薫 様(福井市明倫中学校元研究主任)司会:内田 裕斗 様(岡崎市立羽根小学校・元本校研究主任)
(2)参加者紹介
・田村 学 様(國學院大學人間開発学部初等教育学科教授)文部科学省・国立教育政策研究所教科調査官、文部科学省初等中等教育局視学官を歴任。著書「深い学び」(東洋館出版社)、「授業を磨く」(東洋館出版社)等多数
・新海 洋子 様(SDGsコミュニティ代表理事)環境省中部環境パートナーシップオフィス、中部地方ESD活動支援センター等の勤務を歴任し、SDGsやESDプログラムづくり、ESD研究会企画運営、ESD研修を行っている。
・岩本 麿薫 様(福井県明倫中学校元研究主任)國學院大學田村学教授の指導を受け、アクティブラーニングを導入した授業実践者として活躍
〇公開授業一覧
学級名 |
授業会場 |
教科・領域 |
授業者 |
単元・題材・主題 |
1年1組 |
1年1組教室 |
国語 |
鈴木奈穂子 |
話題や展開を捉えて話し合おう |
1年2組 |
体育館 |
保健体育 |
白井 星七 |
ダンス~現代的なリズムのダンス~ |
1年3組 |
1年3組教室 |
総合的な学習の時間 |
岩瀬 美瑚 |
できるのか!?生物との共生 |
1年4組 |
1年4組教室 |
総合的な学習の時間 |
野田 啓太 |
できるのか!?生物との共生 |
1年5組 |
第1理科室 |
理科 |
高須 敦矢 |
状態変化と温度 |
2年1組 |
第2理科室 |
理科 |
岩井 恵 |
動物の体のつくりとはたらき |
2年2組 |
2年2組教室 |
総合的な学習の時間 |
佐藤 鷹也 |
課題は何だ!?持続可能な節電プラン |
2年3組 |
花園体育館 |
保健体育 |
松村 優輝 |
ダンス~現代的なリズムのダンス~ |
2年4組 |
2年4組教室 |
総合的な学習の時間 |
千葉 春奈 |
課題は何だ!?持続可能な節電プラン |
2年5組 |
花園体育館 |
保健体育 |
細井 優太 |
ダンス~現代的なリズムのダンス~ |
3年1組 |
3年1組教室 |
英語 |
鈴木 淳也 |
Unit4 Be Prepared and Work Together |
3年2組 |
3年2組教室 |
国語 |
小川 貴子 |
挨拶-原爆の写真によせて- |
3年3組 |
3年3組教室 |
総合的な学習の時間 |
藤渕 俊旭 |
できるのか!?低炭素で持続可能な社会 |
3年4組 |
武道場 |
保健体育 |
佐宗 敬泰 |
ダンス~現代的なリズムのダンス~ |
特別支援学級 |
6組教室 |
総合的な学習の時間 |
後藤 修 |
やってみよう!持続可能な農園づくり |
特別支援学級 |
7組教室 |
総合的な学習の時間 |
両門 菫 |
やってみよう!持続可能な農園づくり |
1 本校の教育研究主題と目指す生徒像
(1)研究主題
ESDの6つの視点で働きかけ、持続可能な社会を創ろうとする生徒の育成
~総合的な学習の時間を中心にした自分事としての学びにおけるESDとGIGAスクール構想のGOOD MIX~
(2)目指す生徒像
主題のESDの6つの視点とは、4(2)に示すもので、持続可能な目的にもと、自分と相手の考え・立場・心情を理解し、自分事として働きかける視点である。この視点で持続可能な社会を創っていこうとする生徒を育成することが本教育の目標となる。このことから次の生徒像を設定した。
自分や相手、自然や事象などの諸問題について
ESDの6つの視点で自分事として働きかけ持続可能な社会を創ろうとする生徒
2 主題設定の理由(概略)
世界銀行は、2022年2月6日に、新型コロナウイルス感染症の影響で、現在の義務教育世代の生涯に関わる経済規模の損失が、世界規模では2000兆円であると発表したことは、社会にたいへんな衝撃を与えた。また、文部科学省の令和2年度白書では、長期欠席者が令和元年度から倍増していると報告があった。社会活動や教育活動が今までのように行うことができず、活動の機会を制限されたことで、経済に影響を与える内容が多くの報道からあり、本校でも、生徒の登校でのあいさつが小さくなったり、授業での発言量が少なくなったりしてきたことで、生徒の学習や生活のモチベーションが下がっていることを肌で感じている。新学習指導要領の理念の実現を教育の回復力・レジリエンスに生かし、コロナ前の教育に戻す教育を進めようと考えた。
3 研究の経緯
本校は平成24年度に岡崎市教育委員会委嘱で、環境学習を通した総合的な学習の時間での「ESDの視点で働きかける生徒の育成」の研究を行い、知識や友達の考えなどと自分の考えを関連付け、自分事として発言(output)し、行動(performance)できる生徒の育成を目指してきた。研究当初は、教育活動診断アンケートでは、「息の長い発言・根拠のある発言ができる」と回答する生徒の「できる」「まあできる」の割合が常に8割を超えていた。ところが新型コロナの影響により、令和2・3年度の教育活動診断アンケートの該当項目の回答の割合をはじめ、学習に対する意欲や「自分事」ととらえて判断・行動できることが、4~5割程度まで減少した。社会的にも研究の継続・引継ぎができない状況だった。
4 本校教育のESDの理念と学習指導要領の関係
(1)新学習指導要領でのESDの理念
・学習指導要領の前文:これからの学校には、こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ、一人一人の児童(生徒)が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。このために必要な教育の在り方を具体化するのが、各学校において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立てた教育課程である。
・第1章総則「第1小学校(中学校)教育の基本と教育課程の役割」の3:2の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り、豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手となることが期待される児童に、生きる力を育むことを目指すに当たっては、学校教育全体並びに各教科、道徳科、総合的な学習の時間及び特別活動等の指導を通して、どのような資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら、教育活動の充実を図るものとする。
(2)本校教育での学習指導要領の主旨と岡崎市の進める教育の実現
○持続可能な社会の担い手になるため、ESDの6つの視点と育てたい7つの能力・態度を学習指導計画に関連付け、自分事として学びに取り組むことができるようにする。
▼ESDの6つの視点(参考 文部科学省「ユネスコスクールで目指す持続可能な開発のための教育」):持続可能な社会づくりの構成概念例 多様性・相互性・有限性・公平性・連携性・責任性
▼ESDで必要な7つの資質・能力:批判的に考える力・未来像を予測して計画を立てる力・多面的・総合的に考える力・コミュニケーションを行う力・他者と協力する力・つながりを尊重する態度・進んで参加する態度
▼岡崎市の進める「チーム学習」の推進:個別最適化学習と協働的な学習の一体化による「主体的・対話的で深い学び」の実現・アクティブラーニング(目指すはオールアクティブ)の推進
○総合的な学習の時間と教科を関連付けをした授業(教科と総合的な学習の時間)を行う。
▼各教科の見方・考え方の関連を考慮した学習計画を立てることで、知識・技能の活用を実現する。
▼学習課題を実践的な課題解決に発展させるため、パフォ―マンス課題を設定する。
5 研究の手立て
▼手立て1 カリキュラムデザイン:学習課題の解決のために、学習指導案にESDに関わる6つの視点と身に付けたい7つの能力を関連付け、学習視点として「何を学ぶのか」、学習能力として「何ができるようになるか」を明らかにして学習計画を立てる。
▼手立て2 学びの3ステップ:生徒が自分事として働きかけるために、オーセンティックな体験(本物体験)や知識や情報をもとにしたことを意欲的に発言・記述する「カタリバ活動」と「振り返り活動」を行う。
A 情報の収集としてのオーセンティック体験(collect/input情報を収集・入力する活動)
B 情報の編集としての「カタリバ活動」(edit/customize 情報を自分事としてつくりかえる活動)
C 情報の整理と学びの価値づけをする「振り返り活動」(output 情報の出力する段階)
6 研究を支えるツール
▽ツール1 生徒が学習課題に対して、自分事としての発言や情報整理ができるようにするための言語活動(発話と記述)トレーニングとしてMDT(ミニディスカッションタイム)を行う。月曜日午後に行う。
※MDTは、「ALL ACTIVE」を目的にした、生徒が自分事として発言できるようにするトレーニングである。すべての生徒が参加できる課題で、単純な課題について、根拠を示し、他者の意見と比較するなど、「まじめに」「たのしく」意見を出し合うことに価値がある。
▽ツール2 生徒の自分事として、知識整理や情報収集ができるようにするために、ICT利用を進める。思考ツール(思考ツールは21世紀スキルの一つ。ベン図や図表等の構造的思考ツールを示す)やスクールタクトやコラボノート、テレビ会議などのネットワーク利用などを利用する。
▽ツール3 教師のファシリテータとしての自方法の導きと整理では、教師の発問としての思考スキルにつながる言葉・スキルによる思考整理の工夫をする。
7 総合的な学習の大テーマ
本校研究は、平成24年度の研究でおこなった環境学習のテーマをもとに実践する。その学年課題と概要は、次のとおりである。内容は平成24年度の研究で行ってきたことを基本にする。
・1年「できるのか!?生物との共生」
・2年「できるのか!?エネルギー利用と環境保全の両立」
・3年「できるのか!?脱炭素社会・持続発展可能な社会」
8 期待する成果
・他者との協働を通して、自分事としての発言や記述をして蓄積することを積み重ねることで、自分の考えを形成し、持続可能な社会を創る基盤となる考えをもつことができる。
・自分の考えや得られた知識・情報、他者と立場・心情などを比較・分類等の整理を通して、根拠のある考えを形成することができる。
・教科と総合的な学習の時間を関連付けとESDの視点を入れた教育計画により、学びの価値に加え、学びの主体者である生徒自身が自分の価値を見出し、持続可能な社会を創ろうとする意欲が継続できる。
9 研究構造図
10 総合的な学習の大テーマとESDの6つの視点(ESD新香山プラン)
11 身につける資質・能力と学習指導要領の3観点・総合的な学習の時間の学びの要素との関連性
12 研究部会
▽ESD部会(教科と関連付いた授業と年間計画開発・振り返り)
・年間計画・単元計画の作成:生徒教師でつくる総合的な学習の時間の年間計画、環境学習と教科の関連
・教科との関連付け:教科内容との関連付け、見方・考え方との関連付け
・MDTの推進・自分事としての言語活動の充実
・自分事にできる情報の獲得:本物体験、直接体験の実施
・カタリバと振り返り活動の工夫:思考の深まるカタリバと学びの価値付けと次時に繋がる振り返りの工夫
・WEB会議・ICT利用
▽教科部会(「カタリバ活動」と「振り返り活動」の研究・MDT実践)
・「カタリバ」研究:授業の「カタリバ」設定、授業展開との位置付け
・振り返り活動の研究:振り返り活動での学びの価値付け
・対話の情報整理:比較・分類・関連付けでの効果的な思考ツール、図表等の利用▽カタふり研究部会(「カタリバ活動」と「振り返り活動」の研究・MDT実践)個別最適化と協働的学習の一体
▽GIGA部会(ESDのための効率的なICT機器等の利用)
・自分事とになる導入段階での利用・資料提示やレディネスの集約など
・個別最適化な学びと協働的な学びでの効果的なICT利用・協働閲覧できる機能の利用
・遠隔地の方との交流・本時や前時の学習記録の蓄積やその比較など
・各教科の特性としてのアプリ利用(作曲、作画、プログラミング等)
13 学習指導案形式
(1)単元の目標とESDの視点
・3観点の目標にESDの視点を割り当てることで、ESDの目標に関連付ける。
(2)単元の構想
・題材観・教材観には、ESDの視点との関連付けを加える。
・指導観では、本物体験やカタリバ設定などの研究の手立てを入れる。また、思考ツールを利用した対話活動により情報を整理し、学習課題を自分事としてとらえられるように指導の手立てを記載する。
(3)他教科との関連付け
・単元の学習内容で、他教科と関連付けて学ぶ主な内容を記載する。
(4)単元計画
・単元の学習活動が机上の学びに終始しないように、活動的なパフォーマンス課題を設定する。単に「調べる」「考える」ではなく、行動による成果や成果物を残す課題にする。
・計画表の学習課題に関わる部分に、(3)の他教科との関連を記載する。
・総合的な学習の時間では、パフォーマンス課題に向かうよう、単元目標を達成するために様々な内容のパーツを学ぶのにチーム化する。
(5)単元の評価基準
・3観点の評価基準には、評価基準を明確に言語化することで、何をどう学び、何ができるようになればよいのかを、明確にすることができる。(どのように学ぶか・何ができるようになるのか・どのように取り組むかが分かるようにする)
・表現方法を、「○○(課題・段階)について(おいて・~を)、~(手段と資質・要素の関連付け)を通して、□□する(OUTPUT)ことができる。」とすることで、手段・手立てを明らかにした評価にする。(6)本時の学習指導
・育成する観点と評価基準では、本時で育成するESDの資質・能力を明らかにする。