研究推進概要

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1 本校の教育研究主題と目指す生徒像

(1)研究主題

ESDの6つの視点で働きかけ、持続可能な社会を創ろうとする生徒の育成

~総合的な学習の時間を中心にした「何を学び・どう学び・何ができるようになるか」を明らかにした学習展開~

(2)目指す生徒像

主題のESDの6つの視点とは、4(2)に示すもので、持続可能な目的にもと、自分と相手の考え・立場・心情を理解し、自分事として働きかける視点である。この視点で持続可能な社会を創っていこうとする生徒を育成することが本教育の目標となる。このことから次の2つを目指す生徒像として設定した。

A 自分や相手、自然や事象についてESDの6つの視点で自分事としてとらえ、持続可能な働きかけのできる生徒(自分事として語り合う・学び合う生徒)

B 自分や相手、自然や事象について、他者と協働的に解決しようとする生徒(他者と協働して、情報を整理した記録・記述物や制作物・成果物等をつくる生徒)

2 主題設定の理由(概略)

 世界銀行は、2022年2月6日に、新型コロナウイルス感染症の影響で、現在の義務教育世代の生涯に関わる経済規模の損失が、世界規模では2000兆円であると発表したことは、社会にたいへんな衝撃を与えた。また、文部科学省の令和2年度白書では、長期欠席者が令和元年度から倍増していると報告があった。社会活動や教育活動が今までのように行うことができず、活動の機会を制限されたことで、経済に影響を与える内容が多くの報道からあり、本校でも、生徒の登校でのあいさつが小さくなったり、授業での発言量が少なくなったりしてきたことで、生徒の学習や生活のモチベーションが下がっていることを肌で感じている。新学習指導要領の理念の実現を教育の回復力・レジリエンスに生かし、コロナ前の教育に戻す教育を進めようと考えた。

3 研究の経緯

 本校は平成24年度に岡崎市教育委員会委嘱で、環境学習を通した総合的な学習の時間での「ESDの視点で働きかける生徒の育成」の研究を行い、知識や友達の考えなどと自分の考えを関連付け、自分事として発言(output)し、行動(performance)できる生徒の育成を目指してきた。研究当初は、教育活動診断アンケートでは、「息の長い発言・根拠のある発言ができる」と回答する生徒の「できる」「まあできる」の割合が常に8割を超えていた。ところが新型コロナの影響により、令和2・3年度の教育活動診断アンケートの該当項目の回答の割合をはじめ、学習に対する意欲や「自分事」ととらえて判断・行動できることが、4~5割程度まで減少した。社会的にも研究の継続・引継ぎができない状況だった。

4 本校教育のESDの理念と学習指導要領の関係

(1)新学習指導要領でのESDの理念

・学習指導要領の前文:これからの学校には、こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ、一人一人の児童(生徒)が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。このために必要な教育の在り方を具体化するのが、各学校において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立てた教育課程である。

・第1章総則「第1小学校(中学校)教育の基本と教育課程の役割」の3:2の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り、豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手となることが期待される児童に、生きる力を育むことを目指すに当たっては、学校教育全体並びに各教科、道徳科、総合的な学習の時間及び特別活動等の指導を通して、どのような資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら、教育活動の充実を図るものとする。

(2)本校教育での学習指導要領の主旨と岡崎市の進める教育の実現

○「何を学び」「どう学び」「何ができるようになるか」を明らかにした指導計画を立てる。そのための、ESDの6つの視点と育てたい7つの能力・態度を学習指導計画に関連付ける。

▼ESDの6つの視点(参考 文部科学省「ユネスコスクールで目指す持続可能な開発のための教育」)「何を学ぶか」:持続可能な社会づくりの構成概念例 多様性・相互性・有限性・公平性・連携性・責任性

▼ESDで必要な7つの資質・能力「何ができるようになるか」:批判的に考える力・未来像を予測して計画を立てる力・多面的・総合的に考える力・コミュニケーションを行う力・他者と協力する力・つながりを尊重する態度・進んで参加する態度

▼岡崎市の進める「チーム学習」の推進「どう学ぶか」:個別最適化学習と協働的な学習の一体化による「主体的・対話的で深い学び」の実現・アクティブラーニング(目指すはオールアクティブ)の推進

総合的な学習の時間と教科を関連付けをした授業(教科と総合的な学習の時間)を行う。

各教科の見方・考え方の関連を考慮した学習計画を立てることで、知識・技能の活用を実現する。

▼学習課題を実践的な課題解決に発展させるため、パフォ―マンス課題を設定する。

5 研究の手立て

▼手立て1 学習課題の解決のために、学習指導案にESDに関わる6つの視点と身に付けたい7つの能力を関連付け、学習視点として「何を学ぶのか」、学習能力として「何ができるようになるか」を明らかにして学習計画を立てる。

▼手立て2 生徒が自分事として働きかけるために、オーセンティックな体験(本物体験)や知識や情報をもとにしたことを意欲的に発言・記述する「カタリバ活動」と「振り返り活動」を行う。

A 情報の収集としてのオーセンティック体験(collect/input情報を収集・入力する活動)

B 情報の編集としての「カタリバ活動」(edit/customize 情報を自分事としてつくりかえる活動)

C 情報の整理と学びの価値づけをする「振り返り活動」(output 情報の出力する段階)

6 研究を支えるツール

▽ツール1 生徒が学習課題に対して、自分事としての発言や情報整理ができるようにするためのトレーニングとしてMDT(ミニディスカッションタイム)を行う。月曜日の5限後に行う。

※MDTは、「ALL ACTIVE」を目的にした、生徒が自分事として発言できるようにするトレーニングである。すべての生徒が参加できる課題で、単純な課題について、根拠を示し、他者の意見と比較するなど、「まじめに」「たのしく」意見を出し合うことに価値がある。

▽ツール2 生徒の自分事として、知識整理や情報収集ができるようにするために、ICT利用を進める。思考ツール(思考ツールは21世紀スキルの一つ。ベン図や図表等の構造的思考ツールを示す)やスクールタクトやコラボノート、テレビ会議などのネットワーク利用などを利用する。

▽ツール3 教師のファシリテータとしての自方法の導きと整理では、教師の発問としての思考スキルにつながる言葉・スキルによる思考整理の工夫をする。

7 総合的な学習の大テーマ

本校研究は、平成24年度の研究でおこなった環境学習のテーマをもとに実践する。その学年課題と概要は、次のとおりである。内容は平成24年度の研究で行ってきたことを基本にする。

・1年「できるのか!?生物との共生」

・2年「できるのか!?エネルギー利用と環境保全の両立」

・3年「できるのか!?脱炭素社会・持続発展可能な社会」

8 期待する成果

・他者との協働を通して、自分事としての発言や記述をして蓄積することを積み重ねることで、自分の考えを形成し、持続可能な社会を創る基盤となる考えをもつことができる。

・自分の考えや得られた知識・情報、他者と立場・心情などを比較・分類等の整理を通して、根拠のある考えを形成することができる。

・教科と総合的な学習の時間を関連付けとESDの視点を入れた教育計画により、学びの価値に加え、学びの主体者である生徒自身が自分の価値を見出し、持続可能な社会を創ろうとする意欲が継続できる。

9 研究構造図

10 総合的な学習の大テーマとESDの6つの視点(ESD新香山プラン)

11 「どのように学び、何を身に付けるか」と学習指導要領の3観点・総合的な学習の時間の学びの要素との関連性

12 研究部会

▽「総合的な学習の時間」部会(教科と関連付いた授業と年間計画開発・振り返り)「何のために学ぶか」「何を身に付けるか」を考える部会

・年間計画・単元計画の作成:生徒教師でつくる年間計画、ESDカレンダー作成、環境学習と教科の関連

・教科との関連付け:教科内容との関連付け、見方・考え方との関連付け

・自分事にできる情報の獲得:本物体験、直接体験の実施

・カタリバと振り返り活動の工夫:思考の深まるカタリバと学びの価値付けと次時に繋がる振り返りの工夫

・テレビ会議・ICT利用

▽カタふり研究部会(「カタリバ活動」と「振り返り活動」の研究・MDT実践)個別最適化と協働的学習の一体化・「持続可能な話し合い」「どのように学ぶか」を考える部会

・「カタリバ」研究:授業の「カタリバ」設定、授業展開との位置付け

・振り返り活動の研究:振り返り活動での学びの価値付け

・MDT活動の計画・運営:生徒が主体的に活動する対話活動、テーマ設定の工夫、「私の主張」用紙準備

・対話の情報整理:比較・分類・関連付けでの効果的な思考ツール、図表等の利用▽カタふり研究部会(「カタリバ活動」と「振り返り活動」の研究・MDT実践)個別最適化と協働的学習の一体

 ▽教科研究部会(教科と関連付いた授業と年間計画開発・振り返り)「何のために学ぶか」「何を身に付けるか」を考える部会

 ・総合的な学習と教科・領域の目標と関連付けた授業計画の工夫:総合的な学習の時間の探究要素との関連

 ・ESDカレンダー作成、学習指導要領の主旨の実現、教科の見方・考え方、教科の3観点要素の達成

 ・振り返り活動の方法:学びの価値付けと次時に繋がる振り返りの工夫

13 学習指導案形式

(1)単元の目標とESDの視点

・3観点の目標にESDの視点を割り当てることで、ESDの目標に関連付ける。

(2)単元の構想

・題材観・教材観には、ESDの視点との関連付けを加える。

・指導観では、本物体験やカタリバ設定などの研究の手立てを入れる。また、思考ツールを利用した対話活動により情報を整理し、学習課題を自分事としてとらえられるように指導の手立てを記載する。

(3)他教科との関連付け

・単元の学習内容で、他教科と関連付けて学ぶ主な内容を記載する。

(4)単元計画

 ・単元の学習活動が机上の学びに終始しないように、活動的なパフォーマンス課題を設定する。単に「調べる」「考える」ではなく、行動による成果や成果物を残す課題にする。

・計画表の学習課題に関わる部分に、(3)の他教科との関連を記載する。

・総合的な学習の時間では、パフォーマンス課題に向かうよう、単元目標を達成するために様々な内容のパーツを学ぶのにチーム化する。

(5)単元の評価基準

 ・3観点の評価基準には、評価基準を明確に言語化することで、何をどう学び、何ができるようになればよいのかを、明確にすることができる。(どのように学ぶか・何ができるようになるのか・どのように取り組むかが分かるようにする)

 ・表現方法を、「○○(課題・段階)について(おいて・~を)、~(手段と資質・要素の関連付け)を通して、□□する(OUTPUT)ことができる。」とすることで、手段・手立てを明らかにした評価にする。(6)本時の学習指導

 ・育成する観点と評価基準では、本時で育成するESDの資質・能力を明らかにする。