読書指導の原点と実践の継続
読書指導の原点
子供たちの本離れが進んでいると指摘されている中、本校の平成25年度の学校教育診断票の読書に関するアンケートをみると、90%の児童は、「ふれあい読書」や「自由読書」は楽しいと答えている。また、好きな本名や作家さんの名前を語れるほど本好きな子が多い。日頃の読み聞かせの成果といえる。
読書は、根石小の特色ある教育活動である。そして、根石の読書指導の原点は、「本好きな子を育てる」ことにある。この読書指導は、昭和53年度より始まった。当時も本を読まなくなった子供たちが増え、読書離れが大きな話題となった。しかし、根石の教師は、子供の読書離れを嘆くよりも、
・一冊でもいいから子供の心に残る本と出合うことができるようにしよう。 ・一日に少しの時間でもいいから本に読み浸る時間を子供と一緒にもとう。
という思いを具現化することに努め、始めた読書活動が「担任による読み聞かせ」である。それは、長い歴史を育み「20分間のふれあい読書」として定着し、今年で36年目を迎えた。
実践の長期継続
<変わることのない読書指導の目的>
昭和53年、読む意欲を育てることをめざして、担任の読み聞かせによる読書指導の実践が始まった。
以来、変わらずに生き続けている読書指導の精神は、「本好きな子を育てる」ことであり、読書を通して、子供たちの人間的な成長を図ることである。子供が本を好きになれば、多くの本と出合い感動が生まれる。この感動の積み重ねこそが、子供たちの心の豊かさに結実すると考えている。
ある時期、「読書指導は読解力を高めるために行う必要があるのではないか」という声も聞かれたが、読書を国語科の目標達成の手段とはせず、一貫して、本好きな子を育てるために行うことを目的にしてきた。それは、今も変わることはない。
<根石の読書研究の経緯> ・昭和53年度~54年度 読む意欲を育てることと感想をもった自分を表現できる子の育成 ・昭和55年度~57年度 進んで読書し、自分の心を耕しつづける子の育成 ・昭和58年度~63年度 心豊かな子を育てる読書指導 ~本好きな子を求めて~ ・平成元年度~4年度 読書指導~本好きな子を求めつづけて~ ・平成5年度~9年度 心豊かな子を育てる読書指導 ・平成10年度~12年度 心がふれあう読書指導 ~学校の特色を生かした総合的な学習の試み~ ・平成13年度~19年度 心がふれあう読書活動~本好きな子を求めて~ ・平成20年度~24年度 ひびく読み声 ふれあう心 いのち輝く読書活動 ~読み聞かせを中心とした読書活動~ ・平成25年度~ ひびく読み声 ふれあう心と言葉の読書活動 ~読み聞かせと感想交流からの高まりと広がり~ |
子供の本を紹介する会 夏季自主研修
<職員が替わっても受け継がれる読書指導>
職員の構成は毎年変わる。読書指導に熟知している者もいれば、理解が十分できていない者もいる。新しく赴任した者は、「本の選択はどうするか」「どのように読み聞かせをするのか」「根石の読書は何を目指しているのか」など、実践上の不安要素が多くある。その中で、読書指導を継続することは簡単なことではない。そのため、読書指導の骨子や読み聞かせの技術等を共通理解するための校内自主研修会を大切にしている。
また、指導の技や読み聞かせをする本の話題が気軽に出し合えるような組織や雰囲気を創りあげている。意見交換する中で、出されたアイディアを全職員で実践するボトムアップ方式を研究の基本としている。このような研究体制が職員の意識を高め、根石の読書指導が継続される秘訣になっていると考えている。
<校内の読書指導自主研修会> ○根石の読書指導の経緯、骨子を職員から職員に伝達 ・読み聞かせの実演(年度初めの研修として新しく赴任した者に伝達) ・お気に入りの本(前年度の実践の中で子どもの評判がよかった本) ○自主研修を通して、本選びの方法や読み聞かせ技術を伝達 ・年1回の「ふれあい読書」の授業研究・協議会(全担任が実施) ・実技講習(本選びのこつ、読み聞かせ技術、パネルシアター作り) ・子どもの本に関する専門家を講師に招いての学習会の実施 ・「子どもの本専門店」へのツアー実施(新しい本の開拓) ・読書指導についての日常的な意見交換……ボトムアップ ○読み聞かせ図書の充実、実践記録、学年に応じた本(読書の森) |
「読書指導継続の秘訣」 ①担任にゆだねられている時間 ②子どもの反応に感動する時間 ③教師も楽しくなってくる時間 |